安田記念Vサトノアラジンより目立ったサトノティターンの今後に注目/トレセン発秘話

東京スポーツ

2017年06月08日(木) 18:30

フラフラと斜行しながらも先頭でゴールし能力の高さを見せつけたサトノティターン(C)netkeiba、撮影:下野雄規

「去年(6月5日)がロゴの日なら、今年(6月4日)はロジの日だな」

 ロジチャリスを送り出す国枝栄調教師が戦前にこう話した安田記念。むろん競馬が語呂合わせで毎度決まるはずもなく、レースも戦前のイメージとは正反対のハイペース(前半3ハロン33秒9)に。同じ逃げでも堂々の力勝負に出た田辺=ロゴタイプには、前年王者の意地もあったのだろう。レース後には同馬を本命にした当方に「この時計(1分31秒5)でも踏ん張って力は証明してくれました。ただ、クビ差はやっぱり悔しい」と担当する佐々木悟助手からメールが。まったくの同感だが、終わってみれば今年は「サトノの日」だったと割り切るしかない。

 もっとも「サトノの日」を痛感したのは、安田記念サトノアラジンが勝ったからだけではない。同日の3歳上500万下(ダ2100メートル)を勝ったサトノティターン――。実はこの馬の走りこそが象徴的だった。「久々もあって気持ちがかなり入っていた」とマジックマンことモレイラは語ったが、オルフェーヴル阪神大賞典(2012年=2着)をほうふつさせる“珍獣”ぶりをサトノアラジンの前祝いとばかりに発揮したのだ。

 衝撃シーンは残り2ハロンを過ぎて先頭に立った瞬間だった。何かに驚いたように、馬が突然大きく外へ斜行。それは内ラチ沿いから実に8頭分、まさに瞬間移動とも言うべき“欽ちゃん走り”。場内はどよめきに包まれたが、これで終わらなかったのが“珍獣”の“珍獣”たるゆえん。

 鞍上が立て直そうと右ステッキを入れると、今度は内へ大きく斜行。そのアクションを止めると今度は再び外へ。それは逮捕されたタイガー・ウッズも顔負けのフラつきだったが、鞍上がステッキを使うことを諦めた途端、再び加速して難なく先頭でゴールしてしまったのだから恐れ入る。“一人借り物競走”と呼ぶべきその蛇行Vには、2着馬の単勝を握りしめていた当方も、笑うしかなかった。

 当然ながら馬には平地調教再審査が課せられたが、今回が10か月ぶり2度目の実戦だったことを踏まえると、秘めるポテンシャルは相当なもの。「能力があるのは分かったけど、もう少し精神面の成長が欲しい」とモレイラは語ったが、同じ冠名の安田V馬を印象度で食ってしまったのも確かである。堀厩舎らしからぬ“問題児”の次走が今は待ち遠しく、次なる「サトノの日」を内心期待している。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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