ネロなど、今週の主要調教馬場の時計/栗東トレセンニュース

2017年07月20日(木) 12:00

ネロは昨年時よりも直線競馬向きに進化した印象を受け、重賞2勝目も狙える(撮影:井内利彰)

 19日担当のコラムでも記したが、先週から栗東では昼以降にゲリラ豪雨のような土砂降りの雨が多い。その直前は湿度が高くなり、不快指数が上昇する感じ。これは人間だけでなく、馬も同じで、いくら暑さ対策をしても、夏バテしてしまう馬はいるようだ。

 今週の追い切りを見ていて感じるのは、普段はしっかりと時計を出してくるような馬が極端に遅い時計の追い切りに変更してくる場合。これは夏負けの兆候があるから手控えるというケースが多いように思う。もちろん、陣営としてもレースで結果を求めるために行う変化だけに、一概にこれが即凡走というわけではない。しかし、人気馬がこのように追い切りパターンを変化させてくる場合は注意が必要だろう。

【坂路/4F51.9秒】
 19日。一番時計はルイ(栗東・森秀行厩舎)の4F49.6秒。これに続いたのが、4F49.7秒のカレンマタドール(栗東・安田隆行厩舎)。4F50秒台は4頭いて、先週よりも時計が出やすい馬場状態だと判断してよい。雨が降るといっても短時間なので、それがウッドチップに対して適度な水分となっているのだろう。

 走りやすい馬場だったとはいえ、中京記念の出走を予定しているアスカビレン(栗東・中尾秀正厩舎)は絶好調。2F目12.6秒と速いラップを踏むと、その後も速いラップを持続させて、4F51.1秒で自己ベストを更新。夏は牝馬という格言があるが、まさにそれを感じさせる動き。

 20日。一番時計は来週のアイビスSD(7月30日・新潟芝1000m)を予定しているネロ(栗東・森秀行厩舎)がマークした、4F49.0秒という時計。自己ベストが4F48.2秒の馬だけに、自身にとっては極端に速い数字ではないが、調子が悪ければこのような時計は出ないはず。

 数字だけでなく、見た目の動きもスピード満点。以前よりも重心が低くなった印象のフットワーク。だからこそ、2F目12.0秒、3F目11.9秒、4F目12.2秒と速いラップが持続できるのではないだろうか。昨年はアタマ差2着だったが、当時よりも直線競馬向きに進化した印象も受けるだけに、重賞2勝目を挙げる可能性は非常に高い。

 先週の馬場差は「±0.0秒」。週を追うごとに基準時計と差のない馬場に戻ってきているが、今週は気持ち速い馬場。よって、今週の馬場差は19日、20日とも『-0.2秒』で記録している。

【CW/5F66.5秒】
 今週はウッドチップがたっぷりと水分を含んでいる状態だったことは間違いないが、実際の時計は遅いという印象はない。6Fで80秒を切ってくる頭数は少なくても、80秒、81秒台はかなりいたので、出そうと思えば出せる馬場。

 19日に目立った動きを見せたのは、3歳未勝利のゲイムフリー(栗東・大根田裕之厩舎)。テンから軽快なスピードで飛ばしていったが、最後まで止まることなく、しっかりとフィニッシュ。追い切りの動きだけを見ていると、とても未勝利で惨敗しているような馬には思えない。

 20日はサウンドテーブル(栗東・崎山博樹厩舎)。先行していたブルノを追いかけたが、4コーナーで外を回って、きっちり追いつく動き。6F81.9秒は特筆するほどの数字ではないが、ラスト1Fが12.0秒で4コーナーで外を回ったことを思えば十分に評価できる時計だろう。

 先週の馬場差は「±0.0秒」。今週に関しては、乗り手からも時計の出方を問われることが多かったので、難しい馬場状態なのかも知れない。しかし全体的な時計の出方を見ると決して時計の出ない馬場ではなく、馬場差は19日、20日ともに『±0.0秒』で記録している。

【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
 今週の芝馬場は2歳新馬の追い切りが中心。こちらは雨の影響が出て、芝は緩くて、塊が飛ぶような状態。よって馬場差は『+1.5秒』で19日、20日ともに記録している。

 ポリトラック馬場は追い切り頭数は20頭ちょっとと少なめ。時計の出方としては、極端に速いわけではなく、基準時計よりは速いくらい。よって馬場差は19日、20日とも『-1.0秒』で馬場差を記録している。

※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。

(取材・写真:井内利彰)

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