昨年の覇者・
モズカッチャンに史上4頭目の連覇の期待がかかる、今年の
エリザベス女王杯。「女王連覇物語」と題して、連覇を果たした3頭に迫る。今回は1998年・1999年の
メジロドーベルをお送りする。
■牝馬同士では無類の強さを発揮
阪神3歳牝馬S(現在の阪神JF)を制して、2歳女王の座に就いた
メジロドーベル。クラシックはラ
イバルの
キョウエイマーチと1・2番人気を分け合い、
オークスと
秋華賞の2冠を制した。
1998年、4歳になると春は牡馬混合のレースを4戦するが、勝つことはできなかった。久々の勝利は秋緒戦の
府中牝馬S、58キロを背負った1年ぶりの復活劇で、
エリザベス女王杯へ駒を進める。
この年の
エリザベス女王杯は、3世代の
オークス馬が顔をそろえた。圧倒的支持を集める1番人気は5歳の
エアグルーヴ。牡馬の一線級と互角にわたりあっており、牝馬同士ならば一枚上と見られていたのだ。2番人気は
メジロドーベル、そして3番人気にその年の
オークス馬
エリモエクセルが支持されていた。
レースは、1000m通過1:02.0というゆったりした流れ。最内枠からスタートした
メジロドーベルは向正面に入るとやや掛かり気味で、
吉田豊騎手がなだめながら中団の内を進む。並ぶ形で
メジロドーベル、
エリモエクセルもその直後につける。3コーナー過ぎ、
エアグルーヴが外から早めに動いて位置を上げていく。直線も外を追い込む
エアグルーヴだったが、なかなか前を捕らえることができない。そこで内から抜け出したのが
メジロドーベルだった。先に抜け出しを図っていた2着の
ランフォザドリームを交わし、1馬身1/4差でゴール。
エアグルーヴは追い込み届かず、3着に終わった。2週後の
ジャパンCが目標だったとはいえ、直接対決4戦目にして初めて、
メジロドーベルが先着を果たした。ゴールの瞬間に左の人差し指を突きあげた
吉田豊騎手は「なんとか1回
エアグルーヴに勝ち、牝馬の女王になれてよかった」とコメントした。
この後、前年に続き
有馬記念に挑戦するも、掛かって失速し9着に敗れた。
1999年は中山牝馬Sで始動し、58.5キロものハンデを背負いながら2着に粘った。ところがその後、故障を発症して春は全休した。
7か月ぶりとなる
毎日王冠は6着。ただ、ひと叩きされて本番は前年以上という状態で挑むことに。
メジロドーベルは前年に続き2番人気、1番人気は前年の二冠牝馬
ファレノプシス、そして
エリモエクセルも前年と同じ3番人気だった。
内枠スタートの
メジロドーベルはやはり行きたがったが、向正面では落ち着いて中団の内ぴったりを追走する。その外に
ファレノプシス、さらに外を
エリモエクセル。3頭は坂の頂上から3列目で併走しながら直線を向く。そこからまたも内を抜け出したのは、
メジロドーベルだった。見事に連覇で引退の花道を飾った。
牝馬史上初のGI5勝、4年連続
JRA賞受賞、牝馬初の4年連続GI制覇という数々の記録を打ち立て、牝馬限定戦では8勝してすべて馬券圏内だった
メジロドーベル。たしかに、牡馬相手の重賞は
オールカマーの1勝のみで、GIを勝つことはできなかった。それでも、21戦すべてに騎乗し、デビュー3年目でGIジョッキーとなった
吉田豊騎手との名コンビぶりが色あせることはない。
メジロドーベルは2年前に繁殖生活も終えた。そして24歳となった今夏、函館競馬場で元気な姿をファンに魅せた。
2018/11/9 19:46
この頃の牝馬は、今のように牡馬並みに強くはなく、エアグルーヴが秋天を買った時はウオッカがダービーを勝った時並みの衝撃を受けたものだ。
メジロドーベルは昨今のブエナビスタやジェンティルドンナのような牡馬顔負けの強さは持っていなかったかもしれない。
実際、宝塚や有馬などの大レースでは大敗している。
これだけで当時のエリザベス女王杯の重要性がわかるかもしれないが、古馬牝馬にとって活躍できる唯一のレースだった。
ドーベルはどんなに牡馬相手のレースで大敗しようと牝馬同士なら負けない。
ドーベルは決して最強馬ではないが
エリザベス女王杯があったおかげで
4年連続G1制覇という偉業を達成し最強牝馬の座を最後まで守ってみせた。
牡馬を蹴散らす牝馬を観るのは爽快だが
自分は男相手だと、か弱い部分が出てしまうドーベルのほうが女の子らしくて好きだったな