今年、春秋マイルGI連覇を狙うのは、
モズアスコット(牡4、栗東・
矢作芳人厩舎)。過去には秋春秋のマイルGI3連勝を達成した馬が3頭いる。『春秋マイル連覇の名馬』、今回は1998年の
タイキシャトルをお送りする。
■マイルで7戦7勝、栗毛の最強マイラー
1997年。3歳4月にデビューした
タイキシャトルは、7か月後の
マイルCSまでに6戦5勝した。4戦目の菩提樹Sでは競走生活で2回しかない敗戦を経験するものの、
ユニコーンSで重賞初制覇、古馬初対戦の
スワンSで芝重賞を初制覇するなど、着実に勝利を重ねていた。
スワンSを勝って迎えた
マイルCSだったが、1番人気は古馬相手の
安田記念と
毎日王冠で3着していた同期の
スピードワールドに譲り、
タイキシャトルは2番人気だった。
レースを引っ張ったのは、これもまた同期の
桜花賞馬
キョウエイマーチ。
タイキシャトルは4~5番手につけた。1000m通過が56.5秒という超ハイペースのなか先頭を守り続けた
キョウエイマーチだったが、
タイキシャトルが襲いかかる。あっさりと交わすと2馬身半差をつけてGI初勝利。ハイペースを先行しメンバー最速の上がりで抜け出す競馬によって、
タイキシャトルの強さを誰もが認めることとなった。
続く
スプリンターズSには前年優勝の
フラワーパークらが出走していたが、
タイキシャトルは1.9倍の断然人気に応えてGIを連勝した。同一年に
マイルCSと
スプリンターズSを制したのは初めてのことだった。
1998年。春の目標を
安田記念とした
タイキシャトルは前哨戦の
京王杯SCに出走し、いつものように好位から進み、終始馬なりでレコード勝ちを収めた。
そして迎えた
安田記念、ファンは単勝オッズ1.3倍の期待をかけた。
内枠からスタートした
タイキシャトルは、好位の中ほどに進路を取る。直線は粘り込みを図った香港の
オリエンタルエクスプレスをねじ伏せるように交わすと、2馬身半差でゴール。「夢は世界へ飛び立つか」という実況が響くなかでの完勝だった。
レース当日は泥が跳ね上がるほどの不良馬場だったが、
タイキシャトルには問題なし。むしろ、好走できたことで欧州のタフな馬場にも対応できると期待が高まっていった。
期待は現実になった。
ドーヴィル競馬場の芝直線1600mで行われたジャック・ル・マロワ賞で、
タイキシャトルは見事に海外GI初制覇を果たす。海外競馬に挑戦してきた岡部幸雄騎手にとっても悲願の勝利で、競馬ではクールな岡部騎手が表彰式で涙を見せたという。
凱旋レースは、連覇がかかる
マイルCSとなった。このときも
安田記念と同じ単勝オッズ1.3倍に支持された。
好位3番手を進んだ
タイキシャトルは、このときも逃げる
キョウエイマーチに襲いかかった。直線半ばで捕らえ、その後に岡部騎手の手が動くとさらに反応してぐんぐん脚を伸ばし、5馬身差で連覇達成。実況アナウンサーが「これが世界の脚だ」という通り、世界を制したスピードと末脚を日本のファンに披露した。
次走、引退レースの
スプリンターズSは3着に敗れる。競走生活で2回のみの2回目の敗戦だった。
競走成績は13戦11勝、マイル戦は7戦7勝である。芝もダートも道悪も何でもこなし、海外遠征を挟んで連勝を続けた。
春秋の国内マイルGIを3連勝した馬は3頭いる。ただ、3戦すべてで2着馬に2馬身差以上の着差をつけたのは、
タイキシャトルのみ。これも最強マイラーと呼べる理由のひとつかもしれない。
2018/11/14 23:15
グラスワンダー、エルコンドルパサー、タイキシャトル、シーキングザパール等あの時代のマル外は強すぎた。