マテラスカイ 芝参戦決めた“武豊の言葉”/トレセン発秘話

東京スポーツ

2019年09月04日(水) 18:00

セントウルSに出走予定のマテラスカイ(c)netkeiba.com

 脚部不安のため、セントウルSを回避したレッドアンシェル。もともとはCBC賞勝ちからのぶっつけでスプリンターズSに向かう予定だったのを変更しての出走プランだったのだが、そんな急なローテ変更にもかかわらず、「いろんなジョッキーサイドから“乗せてほしい”とリクエストがあった」と庄野調教師が明かしてくれた。主戦の福永が高松宮記念勝ち馬ミスターメロディに乗るため、複数のエージェントから売り込みがあったというわけだ。

 この動きから「おそらく強力なメンバーはそこまで多くないのでは」と読んでいたトレーナー。なるほど、発表された登録馬を見ると、スプリンターズSの前哨戦としては手薄。読み自体は見事に当たっていた。

 一方で、なぜレッドアンシェルが予定を変更してセントウルSに使おうとしたかというと、グランアレグリアステルヴィオなどの“新規参入組”の影響で、スプリンターズSのボーダーが当初より高くなり、現状の賞金では出走できない恐れが出ていたから。つまり、前哨戦が寂しいメンバーなのに、本番は例年より駒が揃うという、ある意味、矛盾した図式になっているのだ。

 近年はぶっつけでGIに使う馬が勝ち負けするのが当たり前になっているが、どうやらスプリンターズSにもそうした“におい”が漂っている?

 少なくとも今年のセントウルSが本番に直結するためには、高松宮記念の覇者ミスターメロディが強い競馬できっちり結果を出すことが必要になってくる。仮に、この馬が凡走するようだと…。それこそ、何が来てもおかしくないのかも。

 そんな中、このセントウルSステップに米GI・BCスプリント(11月2日=サンタアニタパーク競馬場、ダ1200メートル)に向かう異端の存在がマテラスカイ。もちろん、次への叩き台であり、「ほかに使うレースもないので」(高野助手)という後ろ向きな理由もあるにはあるのだが…。その一方で「前からもう一度、芝を使いたいと思っていた」とも。

 なんでも主戦の武豊が「芝スタートのところが一番速いな」とダート戦のスタート部分の芝の行きっぷりの良さをいつも褒めているのだという。

「以前に芝を使った時(16年京王杯2歳S9着)とは馬が違いますし、力をつけた今、芝でどれだけやれるのかを見てみたい」(高野助手)

 もしかしたら、マテラスカイが今年のセントウルSを引っかき回す存在になるかもしれない。

(栗東の坂路野郎・高岡功)

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