それまで中山競馬場で行われていたGI
朝日杯FSが2014年から舞台を阪神競馬場へと移し、同時に阪神のGIIIラジオNIKKEI杯2歳Sが、中山でGII
ホープフルSとして
リニューアルされ、同レースは17年からGIに昇格した。
この2歳戦改革によって暮れに牡馬(牝馬も出走できるが…)のGIが2つ存在することに。それに伴い、“どちらの勝ち馬を
最優秀2歳牡馬として投票するか”が記者の間でも悩ましいテーマとなった。
例えば、昨年は
朝日杯FS=
アドマイヤマーズが153票、
ホープフルS=
サートゥルナーリアが123票。前者が栄冠を手にしたわけだが、これが“正解”だったのかとなると…。
ちなみに、一昨年は
ダノンプレミアム=275票、
タイムフライヤー=13票、
ルヴァンスレーヴ、
ワグネリアン=各1票。
ダノンプレミアムと
タイムフライヤーのチョイスは今、見ても納得だが、後のダート王
ルヴァンスレーヴ、ダービー馬
ワグネリアンに投票した記者も“先見の明”があったと言えようか。
ただ、どんな
ハードパンチを持っていようが、その時点で
チャンピオンベルトを手にしていなければ、あくまでランカーの一人。個人的な意見だが、やはりGI(
JRA)のタイトルを取ってこその最優秀ホースだとは思う。今年は
朝日杯FS=
サリオス、
ホープフルS=
コントレイルの取捨で悩みそう…というのはちょっと気が早い話か。
もっとも、今週末の
サリオスのGI制覇に関しては、気の早い話ではあるまい。新馬→
サウジアラビアRCで見せた圧巻のパフォーマンスから、好素材の多い2歳世代の中でも屈指の存在なのは明らか。そして、この中間も追い切りを重ねるたびに、“当確ランプ”はより強く光を発するものになってきたような…。
2週前追い切りの段階で南ウッド6ハロン81.7秒を馬なりでマーク。「まだ2週前。またがっただけで特に何もない」と名手ムーアは事もなげに振り返ったが、1週前追いではさらに時計を詰め、6ハロン80.6-12.4秒を楽々と叩き出した。
いや、「2週前に負荷をかけているので、やり過ぎに注意した」(森助手)という話を聞けば、“叩き出した”という表現は適切ではない。つまりサッと走っただけで、この数字。新馬当時に見られたボテッとした重苦しさは今や全くなく、一戦ごとにシャープさを増し、さらなる進化を遂げているのだ。
「前回は9月の暑い時期の調整だった。その点、すごしやすくなって、体調も上がっている。冬場でも毛ヅヤもいいですよ」と森助手も順調さを強調する。
堀キュウ舎といえば、無理せずじっくりと馬の成長を待つイメージが強く、過去に2歳GIに出走したのは3度のみ(
朝日杯FS=09年
キングレオポルド、10年
リアルインパクト、
ホープフルS=17年
ルーカス)。そんなキュウ舎にあって「6月デビュー→2歳GI出走」はレアといえばレアだが、「2歳馬としてはしっかりしている。現時点でも大きな課題はなく、完成度は高い」という馬の資質に裏付けられた選択なのだろう。
気の早い話だが、ここを勝って主役として迎えるであろうクラシック戦線。マイルまでしか経験がなく、未知数なままとなる距離に関しても、「筋肉質な馬体もあってマイルを使っているのでしょうが、操縦性も高い馬で距離の融通は利きそう」と森助手は手応え十分なのはお伝えしておく。
果たして今年の
最優秀2歳牡馬はどの馬か…。まずは
サリオスの
朝日杯FSの勝ちっぷりを目に焼き付け、
ホープフルSの結果を待つことにしよう。
(山口心平)
2019/12/11 18:09
その時点での最優秀を選ぶんだからクラシックの成績は関係ないでしょう。
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