【ブリーダーズゴールドC回顧】ぴたりと2番手でスタミナ勝負を制したプリンシアコメータ(斎藤修)

2020年08月14日(金) 18:00 2 2

2番手から押し切り3度目の正直を果たしたプリンシアコメータ(撮影:田中哲実)

 中央勢と地方勢の能力差はやはり大きく、向正面までは佐賀のアンバラージュが4番手につけていたが、それが後退すると、3コーナー手前からは中央5頭の争いとなった。

 2番手のプリンシアコメータが、逃げていたマドラスチェックを4コーナーでとらえると、直線では単独先頭に立ってそのまま押し切った。1馬身半離れての2着争いは、メモリーコウレーヌブランシュをアタマ差でしりぞけた。そのうしろは4馬身差でシネマソングス、さらに3馬身差でマドラスチェックと差がついた。

 前はハイペースの縦長の展開となって、後半は我慢比べ。そのペースをつくったのはマドラスチェックだった。ダッシュよく飛び出すと単騎の逃げに持ち込んだが、2コーナーを回るあたりでプリンシアコメータが直後につけた。

 映像での計測だが、前半1000メートル通過が61秒。これはいかにも速い。後半は66秒7で、勝ちタイムが2分7秒7。このレースが牝馬限定になった2013年以降の勝ちタイムを見ると、不良馬場の2018年が2分5秒6と速かったが、それ以外は2分6秒台から8秒台だから、今回の勝ちタイムは標準的なもの。同じ良馬場でも前日は速いタイムでの決着が目立ったが、この日はかなり時計がかかるようになり、レース前半ハイペースでも勝ちタイムが速くならなかったのは、かなりタフな馬場になっていたからだろう。それゆえの我慢比べ。レースの上り3Fは41秒5もかかって、勝ったプリンシアコメータ自身の上りも41秒4だった。

 プリンシアコメータは、昨年2月のエンプレス杯以来の勝利。このレースは一昨年、昨年と2着だったが、これで牝馬ダートグレード4勝目。4歳から7歳まで毎年1勝ずつ積み上げてきた。地方で出走したダートグレードはすべて牝馬限定戦で、今回が13戦目。4勝2着6回と能力は高いが、一方で二桁着順も3回(いずれも10着)と、負けるときはあっさり。ただ重賞を使われるようになってからの好走パターンは決まっていて、逃げるか3番手以内の好位追走。4番手よりうしろを追走したときは、漏れなく4着以下に敗れている。先行できて2000メートル前後の距離のスタミナ勝負には強い。

 中央5頭の争いになったといっても、一団だったわけではない。中央5頭でもっともうしろの位置取りだったメモリーコウは、3コーナーあたりでも先頭から6~7馬身も離れた位置にいた。前が速かっただけに、その位置で溜めをつくって、後半に使える脚を残すことができた。それが最後、道中は3番手を追走していたレーヌブランシュと追い比べとなってのアタマ差先着しての2着。

 メモリーコウは、2000メートルは牡馬相手の仁川S(12着)しか経験がなかったが、ここまで4勝のうち3勝が1800メートル。レーヌブランシュは川崎2100mの関東オークスを勝ってのここ。ともにマイルあたりの距離よりも2000m前後の距離が向いているのだろう。

 差のある4着だったシネマソングスは、2勝クラスから3勝クラスを連勝した勢いで、今回が重賞初挑戦。地方のタフなダートやナイターがどうだったかということはあるが、2000メートルは今回が初めてで、スタミナが要求される流れは厳しかった。

 マドラスチェックはハイペースで飛ばしたことに加え、当初予定していた7月12日の函館・マリーンSがフレグモーネのため回避となって放牧。ローテーションが狂って1月のTCK女王盃を勝って以来という久々のぶんもあったと思われる。

 なおブリーダーズゴールドC、1レースの売上げ7億2836万4700円は、今年の北海道スプリントC(5億4096万4400円)の134.6%で、ホッカイドウ競馬における1レースのレコードを更新、また1日の売上げ17億412万8140円(SPAT4LOTO含む)も、今年の王冠賞当日(11億5925万2410円)の147.0%と、ともに従来の記録を大幅に上回るレコード更新となった。

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  • ルリうめさん

    2020/8/14 18:21

    佐賀のヤマニンも岩田ならって思ったくらい門別の騎乗技術は匠の技!!!

    最内が深いから、一頭分あけて、逃げずに番手から。最後は走りをやめるのにも気付き、叱咤激励の鞭。
    ダートの岩田は川田より、上手いと思う。

  • 夏競馬 致しませんさん

    2020/8/14 18:16

    スタート出して番手ガッチリ、勝負所で前を射程圏。

    「当たり前に乗って結果を出しただけ(1着ってのは相手関係や運も絡むが…。)」です。

    まぁ「当たり前の事を当たり前に出来ない騎手が多い(多すぎて書ききれない!)」からね…。

    特に「素晴らしい!」とは思えないが「やっぱり『岩田(父)』は信頼出来る(仮に勝ってなくとも…。だぞ!」ってね。

    (世間で上手そうに思われてる)鉄(面皮)と五文字は見倣って貰いたいね。

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