夏の北海道シリーズにおける2歳戦の総決算・GIII
札幌2歳S(9月4日=札幌芝1800メートル)もいよいよ目前。昨年は勝ち馬
ソダシが
桜花賞馬に、そして2着
ユーバーレーベンは
オークス馬に輝くなど、まれにみる当たり年だっただけに期待感が高まるところだが…。
一方で今年は札幌→函館→札幌の変則開催で行われた影響もあり、果たして北海道デビュー組のレベルが高かったのか否かは、まだ答えが出るに至っていない。先週までに行われた北海道シリーズの芝1800&2000メートルの新馬戦計9鞍で1番人気が制したのはわずか3頭。有力と目された馬たちが“評判倒れ”だったケースが多かったことは何度か指摘してきた。
そんな逆風も漂う中、1番人気で制した数少ないうちの1頭
リューベックが当レースにエントリー。この馬の走りが北海道デビュー組のレベルを測るうえで重要な意味を持つのは言うまでもない。7月18日の函館芝1800メートル新馬戦で2馬身差の逃走V。当時を担当の藤後助手はこう振り返る。
「逃げる形になるとは思っていなかったのですが、センスのいい走りをしてくれました。まだ1頭だとフワフワして頼りないところもありますが、前に馬がいたり、併せ馬の形だったりすると真面目に走ってくれます。栗東にいた時は獣医さんに“まだ緩い”と言われていて、先々の馬かなと思っていただけに、結果を出せて良かったですね」
未完成の段階できっちり結果を出したあたりが全姉に
ディアドラがいる良血、かつ能力の高さの表れでもあろう。一方で藤後助手は「(新馬戦の)2着馬が勝ち上がれていないし(
ヒルノロワール=未勝利戦で連続6着)、尋常じゃない時計で勝った
トップキャストも出走してきますからね。挑戦者の立場ではあります」とも口にする。
リューベックが1分51秒4の勝ち上がりだったのに対して、
トップキャストは翌週の同舞台を1分48秒5で走破。その差は歴然だが、後者は同日古馬1勝クラスで1分47秒8が出たように時計の速い日でもあったとなると、安易な比較は…。
「中間のカイバ食いが良く、上積みは十分に見込めます。血統的にもまだまだ奥がありそうだし、潜在能力に期待したいですね」と慎重に言葉を選びながらも、藤後助手が確かな手応えを感じていることは伝わってきた。
余談になるが、取材中に別のスタッフから「“今浪
パワー”を受け継げば大丈夫。当日は(パドックで)2人引きを頼むといいよ」と合いの手が入った。もちろん、
ソダシの担当として知られる今浪厩務員のことで、実は2013年の勝ち馬
レッドリヴェール、15年の
アドマイヤエイカンもまた今浪厩務員の担当馬だったのだとか。そんな
札幌2歳Sマイスターの“お手伝い”があるかもしれない
リューベックの走りに、やはり注目しないわけにはいくまい。
(立川敬太)
「いいね!」の付いたコメントが、まだありません。