名馬の血はしっかりと次世代へ受け継がれているのか?
その再確認をする場となるのがGII
セントライト記念(20日=中山芝外2200メートル)。先月末に急性大腸炎でこの世を去った
ドゥラメンテ産駒の
タイトルホルダーが出走するからである。
ドゥラメンテは
母アドマイヤグルーヴ、祖
母エアグルーヴ、曽祖
母ダイナカールとさかのぼる国内屈指の超良血馬で、2015年に
皐月賞と
日本ダービーの2冠を達成。デビューから9戦5勝、国内で敗れたレースはいずれも僅差の2着と抜群の強さと安定感を誇った。ちなみにあの7冠馬
キタサンブラックとは3度対決していずれも先着。故障で4歳時の
宝塚記念(2着)を最後に早々にターフを去ったのが悔やまれる逸材だった。
17年から種牡馬生活がスタート。今回の主役
タイトルホルダーは初年度産駒の中の一頭で、3月の
弥生賞ディープインパクト記念を制して産駒の重賞初制覇を飾った“出世頭”だ。
皐月賞では
エフフォーリアに屈したものの2着に粘走、クラシック最後の1冠奪取も決して夢ではない実績と実力を誇示してきた。
本番・
菊花賞を前に
ドゥラメンテの“現最高傑作”は果たしてどんなレースを見せるのか。管理する栗田調教師は改めて
ドゥラメンテに対して「心からご冥福をお祈りします」と口にした後、「我々にできることはこの血をしっかりとつないでいくこと。お父さんと同じレベルにまで達するのはなかなか難しいだろうが、少しでも近づけるように。その責任を感じている」と神妙な面持ちで決意を語った。
そう、この一戦は単なる本番への試走にはあらず。種牡馬として頂点を目指す矢先に9歳で逝った父の弔い合戦なのだ。
さらに言えば、
タイトルホルダーの
母メーヴェはトレーナーの義父にあたる栗田博憲元調教師の管理馬だった。貴重な血を受け継ぎ、それを発展させていくためにも二重の意味で負けられない。まさにかける意気込みが違う。
そして鞍上は
弥生賞ディープインパクト記念で勝利に導いた横山武。クセが分かっているのはもちろん、夏の函館&札幌でリーディングジョッキーに輝いた絶好調男だ。
「ここ目標に順調にやってきた。ジョッキーも“反応がいい”と言ってくれている」とは栗田調教師。
タイトルホルダーの最大の武器となる機動性、すなわち自ら早めに動いていき、最後までしぶとく走り切るVイメージはすでに固まっている。
前哨戦を勝って
菊花賞へ――。勝利を重ねることこそが、父への何よりの供養となる。栗田調教師もまた勝ち続けることが、
ヤマニンゼファー(
安田記念連覇、
天皇賞・秋)、
イスラボニータ(
皐月賞)といった名馬を育てた義父への何よりの孝行になることだろう。
(美浦の追悼野郎・垰野忠彦)
2021/9/15 19:04
姉は牝馬で菊花賞5着のメロディーレーン。
ここは無事に回って来て菊花賞で勝ってもらいたい。
長距離不安のキンカメに長距離得意のサドラーどつちに転ぶかな。