◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

　ヴェルトライゼンデは、外国馬かと思うような意味が分かりづらい馬名ですが、馬体はとても特徴的で分かりやすい。キャリア(12戦目)が浅いため5歳の晩秋を迎えても体にみずみずしい張りがあります。どこかのご婦人みたいにスキンケアクリームを熱心に塗らなくても実年齢より若く映る。「まだ3歳なんです」と年齢のサバ読みをしても疑われないでしょう。

　右前屈腱炎のため今春まで1年4カ月もの長期休養を強いられましたが、今は脚元を見る限り何の問題もありません。右前肢の腱もすっきりと見せています。ただし、両耳を左右に開き、視線が定まっていない。不安定な精神状態がうかがえる顔つきですが、体つきだけは若い。ヴェルトライゼンデとはドイツ語で「世界を旅する者」だとか。6歳になる来年でも世界へ羽ばたけるハツラツとしたボディーです。