【日本ダービー】ソールオリエンス、史上8頭目の無敗2冠へ「先週より一段階上がった」・・・坂本達洋記者が「見た」

スポーツ報知

2023年05月25日(木) 06:15

Wコースで追い切ったソールオリエンス(右、鞍上は横山武史騎手)

日本ダービー追い切り(5月24日・美浦トレセン)

 競馬の祭典、第90回日本ダービー・G1(28日、東京)で、史上8頭目の無敗の春2冠を狙う皐月賞ソールオリエンスが24日、万全の仕上がりをアピールした。茨城・美浦トレーニングセンターのWコースで先週に続き併せ馬で先着。主戦の横山武史騎手(24)=美浦・鈴木伸厩舎=が「勝ちたい一心」と意気込んだ最終追い切りを、坂本達洋記者が「見た」。25日に出走馬と枠順が確定する。

 これが王者の風格なのか、素軽い脚さばきが妙に落ち着いて見えた。無敗の2冠を狙うソールオリエンスは、美浦・Wコースの直線で外ベストフィーリング(4歳3勝クラス)に並びかけると、シューッと滑らかに加速していった。横山武は手綱を持ったまま、本当に良いリズムで約1馬身先着してフィニッシュ。「すごくいい動き。先週はちょっとハミを取り過ぎている感じがしたが、先週よりもすごくリラックスしていて、具合は一段階上がった印象です」と、鞍上の言葉はうなずけた。

 強烈な末脚で圧巻の追い込みVを決めた皐月賞から中5週になるが、前走以上の出来と言える。1週前追い切りは美浦・Wコースで僚馬を5馬身追走する形から、1200メートル80秒8―11秒1の好時計をマーク。直線で仕掛けて2馬身先着と十分な負荷をかけられた。そしてこの日、同84秒3―11秒3と全体時計は目立たないが、追うごとに状態が上向き、変に力んだ様子もなかったのは好印象だ。手塚調教師は「レースを重ねるたびに自らハミをくわえて、しっかり前進気勢が一戦ごとに増している印象は受ける」と語り、より心身のバランスがかみ合ってきているようだ。

 前走後は4月19日から約2週間、放牧先の宮城・山元トレセンで英気を養い、当初の予定通りに今月4日に帰厩した。手塚師の「帰って来てからも休み明けという感じは全くしなかったので、強い調教を今までよりかけるというよりは、今の体調をいかに維持するか、に重きを置いた方がいいのかなと思って調整してきた」という采配は、大一番に向けて小細工を施す必要がないという自信と余裕まで感じ取れた。

 京成杯皐月賞で見せた4コーナーで外に膨れた点は、まだ後肢が成長段階で踏ん張りが利かないことによるが、加速の優秀さの裏返しとみて、あまり気にはならない。横山武が「中山と違うので直線までゆっくりと運べるし、そのへんは良くなると思います」というジャッジも納得だ。

 記者会見で2年前にエフフォーリアで鼻差2着に敗れた悔しさについてなどの質問が飛ぶと、「勝ちたい一心です」と短い言葉で返答。いちずな思いが伝わってきた。人馬ともに闘志を内にたぎらせ、さらに成長した姿を見せてくれると確信した。(坂本 達洋)

 ◆手塚師に聞く

 ―前走の皐月賞を振り返って。

 「展開もはまったのかもしれないが、強いなと思った。道悪や多頭数の内枠でどういう競馬をするか、半信半疑なところはあったが、それらを全部クリアしてくれた」

 ―勝てば調教師として史上5人目となるクラシック5大競走完全制覇。

 「そういうチャンスに巡り合えたのは、運も良かったですし、チャレンジできることは大変ありがたい。まさにチャンスだと思うので、それをものにできたらうれしいと思います」

 ―手塚調教師にとって日本ダービーとは?

 「最高の舞台ですし、このレースを目指して調教師としての技術を磨いていると言っても過言ではないので、それだけ大きな目標であり、重たいレースだと思います」

 ◆クラシック完全制覇に王手 手塚調教師は、これまで13年に桜花賞(アユサン)、18年に菊花賞(フィエールマン)、21年にオークス(ユーバーレーベン)を勝ち、今年の皐月賞ソールオリエンスで制覇して王手をかけた。完全制覇となれば、尾形藤吉、武田文吾、田中和一郎、藤本冨良に続き、61年ぶり5人目となる。

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