郷原さん、ダービーに間に合う未勝利馬はいますか?

スポニチ

2024年01月26日(金) 05:05

 【競馬人生劇場・平松さとし】未勝利戦を勝ったのが、ちょうど今くらいの時期。それでいて約4カ月後の日本ダービー(G1)を制した馬がいる。

 ウィナーズサークルだ。

 同馬が自身初勝利を挙げたのはデビュー4戦目。89年1月22日、中山ダート1800メートルの未勝利戦だった。当時、手綱を取っていたのは郷原洋行騎手(のち調教師、引退)。後年、次のように語った。

 「前の馬を抜かそうとすると、踏ん張ってしまい、先頭に立つのを嫌がる馬でした。それで未勝利を勝ち上がるのにも時間を要したけど(管理する)松山康久調教師に“どこを狙いたいのか?”と聞くと“ダービー”だと答えました」

 そこで郷原騎手は次のように答えたという。

 「逆算して育てるから、私に全て任せてほしい」

 この言葉の真相を、次のように教えてくれた。

 「前へ行く競馬をさせれば1つ2つはすぐ勝てると思いました。ただ、2400メートルのダービーを勝とうとすれば差す形を教えないといけない。差して、その上で先頭に立つのを嫌がらないように教えなくてはいけないと考えたのです」

 こうして1勝クラス(当時400万下条件)を勝つのにまた3戦を要した。しかし、ここで皐月賞(G1)に滑り込みで出走すると、ドクタースパートの2着に善戦。ダービーでも一躍有力馬に躍り出た。再び後の郷原元騎手の弁。

 「当時は“ダービーでは芦毛は勝てない”とか“芝未勝利の馬は勝てない”とか言われました。でも、自分としてはそこへ行くまでにしっかり教育した自負があったので、自信を持って臨みました」

 結果、郷原騎手はオペックホース以来、2度目のダービー制覇を成し遂げた。

 “剛腕”と呼ばれ、ダービーの他にも天皇賞(G1)など、数々の大レースを制した騎手時代から、調教師としては名障害馬ゴーカイを育てた。

 そんな偉大なホースマンが鬼籍に入ってからこの1月31日で4年となる。果たしてまだ今年のダービーに間に合う未勝利馬はいるのか?郷原さんの答えが聞けないのが残念だ。 (フリーライター)

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