【報知杯弥生賞】10万円の壁で芝"転向"開花したサンライズジパング武豊

スポーツ報知

2024年02月28日(水) 07:00

音無調教師最後のクラシックロードに挑むサンライズジパング

◆第61回報知杯弥生賞ディープインパクト記念・G2(3月3日、中山競馬場・芝2000メートル)

 皐月賞トライアルの第61回報知杯弥生賞ディープインパクト記念(3月3日、中山=3着まで優先出走権)に出走するサンライズジパングは、当初はダート路線の予定も芝で結果を出しての参戦という異色の存在。来年2月に定年の音無秀孝調教師(69)=栗東=は、武豊騎手(54)=栗東・フリー=に手綱を託し、ラストクラシックを見据える。

 道は決まった。サンライズジパング若駒Sを快勝した直後。音無調教師は「もう芝に行くしかないな」と満面の笑みを浮かべた。向こう正面から武豊の手が激しく動き、4角では最後方だったが、直線では大外から他馬が止まって見えるような末脚でひとのみ。「道中は(重馬場で)ノメって、走りたくないような走り方。跳びが大きくて、きれいな馬だから」。不向きな条件での豪快なパフォーマンスが、スケールの大きさを際立たせた。

 まさに「災い転じて福となす」だ。昨夏に芝の新馬で敗れた後、2戦目のダートで圧勝すると、続くJBC2歳優駿も2着。砂路線を歩む予定だったが、重賞2着がありながらも収得賞金は新馬(未勝利)―1勝クラスを勝った馬の900万より少ない890万だった。

 この10万円の“壁”でダート交流重賞の全日本2歳優駿ブルーバードCに出走がかなわなかった。しかし、この2戦の代わりに参戦したホープフルS若駒Sで3、1着。音無調教師も「ダートに使おうと思って、芝の方、芝の方に行ったのにね」と苦笑いを浮かべることがあったほど、計算外の芝適性が浮き彫りになった形だ。

 “二刀流”はひとまず封印し、挑むのは最後のクラシックロードだ。今年6月に70歳を迎える音無調教師は来年2月末で定年引退を迎える。「俺はダートでもいいと思っていたけど、馬主さんが『最終年なので行ってみたら』と言ってくれたからね。この後は皐月賞、ダービーになると思います」。手綱を託すのは、これまで8勝を挙げる「弥生賞男」の武豊。個性派とレジェンドによる異色コンビが、ラストクラシックに彩りを加えていく。(山本 武志)

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