ドウデュースの“スイミング”に密着! プール調教の目的と効果は?

スポーツ報知

2024年05月28日(火) 16:20

地下観察室からドウデュースの泳ぎを見る水納愛美記者(カメラ・高橋 由二)

 東西トレセンは、競走馬を調教するための施設が、これでもかというほど充実している。追い切りで使われる、坂路やウッドチップコース。他にも芝、ダートのコースや、準備運動に使われる角馬場などがあり、形状も用途も多岐に渡る。

 今回はその一つ、栗東トレセンの「競走馬スイミングプール」に潜入。そして、“常連”であるドウデュース(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)のプール調教に密着した。

 競走馬スイミングプールは、1988年8月に「強い馬づくり及び故障馬リハビリのため」に設立。

〈1〉円形プール(1周50メートル、幅員3メートル、水深3メートル)

〈2〉直線プール(長さ25メートル、水深3メートル)

〈3〉馴致用プール

の三つが設置されている。

 50メートルの円形プールを1周40秒で周回すると、馬場1ハロンを13〜15秒で走る速度に相当。またこの場合、馬場を250メートル走ったときと同等の負荷がかかるという。反対に、泳ぐことで背腰の緊張が取れるなど、ストレッチ効果もある。

 ドウデュースがプール調教を行う目的について、担当の前川助手は「普通の調教をしても元気が有り余っているから、その余分な元気を取っていかないと」と説明する。活気がありすぎても、暴れてケガをする場合がある。乗り込みすぎても、脚元に負担がかかる。そのようなリスクを避けられるのがプールだ。ドウデュースもプールに入れるとおとなしくなり、落ち着くという。

 頻度は週4〜5回。2歳時のアイビーSの前から、追い切り日や、それに準ずる時計を出した日以外は毎日通っている。当然、心肺機能や基礎体力も向上。前川助手は「レースとか調教でも、息が荒くなることが少なくなる。回復が速い」と効果を実感している。

 では実際、どのように泳いでいるのか? ドウデュースは円形プールを1周し、一度上がってからもう2周するのがルーチン。あとは、体調によって周回数を増減させる。馴致用プールでシャワーを浴びさせるのも日課。「わざと驚くようなシチュエーションを作る」ことが目的だ。

 円形プールは壁の一部がガラス張りになっており、水族館のような構造。泳ぐ様子を見上げることができる。今回、ドウデュースの“スイミング”を初めて見学したが、想像以上に速い! そして器用! キビキビと脚を動かし、そのたびにずんずんと進んでいく。ガラス越しでも勢いが伝わってきた。一瞬で目の前を通り過ぎたため、カメラを構えていたのに撮り逃すほど…。人間と同じように、全身の筋肉を使っているのが分かった。

 さらに驚いたのは、ドウデュースの泳ぎは特段速くはないということ。前川助手は「慣れてきてるから、ぷかぷか浮いてるだけ。さぼってる(笑い)」と、かわいらしい一面を教えてくれた。また、初めてプールに入る馬はおどおどすることが多いが、ドウデュースは「全然。あんまり怖がらんかった」。元々度胸がある性格のため、すぐに慣れたという。

 ちなみに、友道厩舎とプールは目と鼻の先。入口までは徒歩2〜3分、出口からは1分もかからない。立地条件に恵まれていますよね? と聞くと、前川助手は「超ラッキーやで! めちゃめちゃ行きやすい」と答えてくれた。プールから上がった後に体を乾かし、そのまま馬房に入れられるなど、やはり地の利は大きいようだ。

 一連の取材を終えて、武豊騎手がドバイ・ターフの2週前追い切り(栗東・CWコースで6ハロン79秒5―11秒0)に騎乗した後「今でもケロッとしてるんだもん」と驚がくしていたのを思い出した。前川助手も以前、「調教後に疲れているのは見たことがない」と話していた。昨年は秋古馬3冠を皆勤したように、タフなローテーションもへっちゃら。きっと、プールで体力をつけ、適度にリラックスさせていることが、能力の発揮に役立っているのだろう。プール調教は、ドウデュースの強さの秘けつの一つだ。(中央競馬担当・水納 愛美)

関連情報

みんなのコメント

フィルタ

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・報告・コメント非表示の使い方
  • 非表示・報告をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 非表示・報告をクリックし「このコメントを通報する」を選択することで運営会社に申告できます。
  • ※報告内容について、削除等の処置をお約束するものではありません。確認を行った結果、違反が認められない場合は削除などの措置は行わない場合もあります。なお、報告に対する個別の回答は行っておりません。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

新着ニュース

競輪を手軽に楽しもう!netkeirin

ランキング

      ニュースを探す