小牧太「魂の騎乗、勝てて良かった」 “JRAラスト”で劇的な白星

スポニチ

2024年07月21日(日) 18:50

小倉12Rをモズアカボスで勝利し、ファンの声援に応える小牧太(撮影・坂田 高浩)

 21日の小倉12R・3歳上1勝クラス(ダート1700メートル)は、ここがJRAラスト騎乗となる小牧太(56=栗東・フリー)が騎乗した12番人気モズアカボス(牡4=矢作)が快勝。小牧は劇的な“中央ラスト騎乗白星”を飾った。

 勝った小牧太が検量室前へと引き揚げると、ファンから大きな歓声を浴び、セレモニーでは多くの花束を受け取った。

 「最後に勝てて良かった」。喜びをかみしめた。「魂の騎乗やね。言っていた通り、積極的に行こうと思っていました。並んでからは“気持ち”ですね」と汗をぬぐった。

 19日にNAR(地方競馬全国協会)騎手免許試験に合格し、今月末でJRA騎手免許を返上する。来週も騎乗は可能だが、小牧に乗る予定はない。「乗る馬もいないしね。引っ越しの準備をします」。この日がJRA騎手としてのラストライドだった。

 85年、兵庫でデビュー。兵庫リーディングを10回獲得し、04年にJRAへ移籍した。

 JRA重賞も34勝を挙げている。ただ、近年は騎乗依頼が減り、昨年は未勝利。「引退しようかと思った」と振り返ったが、再び闘志に火をつけたのは3月28日にJRA交流競走で園田で騎乗した時だった。

 重賞の第1回ネクストスター西日本を制した時、「まだまだやれる」という思いが湧き上がった。

 中央でのラスト騎乗が今年JRA1勝目。セレモニーでは「勝つ馬に乗ったら勝てるということです」とプライドをにじませた。

 兵庫、中央、そしてまた兵庫へ。史上初の再移籍。地方通算3440勝のレジェンドは「重賞(中京記念ワールドリバイバルで11着)を勝ちたかったですけどね。やっぱり横山君(横山典)には負けますね」とJRA最終日を振り返った。「昔の小牧太を思いながら(ファンは)見ていると思うので、昔の自分に負けないような騎乗ができれば」と意気込んだ。

 原点の地での再出発。小牧太の騎手人生第3章が来月から始まる。

 ▽長男・加矢太 福島から駆けつけた

 小牧太の長男、障害騎手の小牧加矢太(27=音無)も福島1R(ジローで1着)での騎乗後、小倉のセレモニーへと駆けつけた。「お疲れさまです。引退式ではないですし、交流でも乗るでしょうけどね。オヤジの出身地(鹿児島県)の九州で、小倉の温かい雰囲気の中、見送られていたので良かったです」と父の勇姿を目に焼きつけた。

 また、長女でバレット(騎手の補助員)を務める小牧ひかりさんは「JRA最後の日だったので、勝ててうるっとしました。自分らしく頑張ってほしいです」とエールを送った。

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