【有馬記念】松島正昭オーナー「感謝しかない、神様が与えてくれた馬」 愛馬ドウデュースのラストランへ思い語った

デイリースポーツ

2024年12月17日(火) 06:00 25 95

 ジャパンCを勝利したドウデュースと(左から)武豊、松島オーナー

 「有馬記念・G1」(22日、中山)

 史上5頭目となる有馬記念連覇を狙うファン投票1位のドウデュース(牡5歳、栗東・友道)。ここまでG1・5勝。今回でラストランを迎える不世出の名馬に対する思い、そして種牡馬としての未来を、キーファーズ代表・松島正昭オーナー(66)が余すことなく語った。

  ◇  ◇

 -いよいよ、有馬記念

 「引退式はあるし、秋3冠、そして連覇。すごいプレッシャーだと思う。武ちゃんに、いつ食事行く?って言っても、“いやいや、有馬記念が終わるまでは…”って。あんなにすごい人でも、ちょっと緊張しているみたい」

 -ファン投票は宝塚記念に続き、史上最多票数を記録。

 「すごい。ほとんどが武豊人気でしょう。ずっと乗っているし、それも勝ったり、負けたりやからウケるのかな」

 -有馬連覇はスピードシンボリ(69、70年)からシンボリクリスエス(02、03年)と4頭。

 「関東馬ばかり。関西馬なら初の連覇か。スペシャルウィークは惜しかったね。ダテテンリユウがボクの原点。有馬記念は3着やった。それに勝ったのがスピードシンボリ。そこから競馬にハマっているから。万博の年で小学生やった。当時みたいに連覇が懸かっている。すごいなぁ。アカネテンリユウが2着で、ダテテンリユウが3着。2年続けて一緒。ということは、今年はタイトルホルダーおらんから、スターズオンアースと、あと誰やろ?」

 -ライバルは?

 「アーバンシックは強いん?あと、ダノンデサイルか?う~ん、相手はどれにしようか。スターズオンアースやろな。あの馬は強いで」

 -2、3、4、5歳と全ての年代でG1制覇。

 「おいしいトコしか持って行ってない。最後に(秋)3冠やったら、すごいよね。ダービー馬で、JC、有馬記念と勝った馬はいなかったんでしょ?でも、なぜか不安ですよね。イクイノックスみたいな“絶対に勝つ”みたいなのがない。だから、面白い。マキバオー(漫画『みどりのマキバオー』の主役)みたいな。マキバオーもよく負けよるもん」

 -昨年の有馬記念とは心境も違うのか。

 「去年は脚元のこともあったから無事にいってくれたらって心配やった。勝ったことよりも、無事に走ってホッとした。今年は楽しむよ」

 -栗東で1週前追い切りをチェック。

 「みんながすごいって言うんやから、すごいんやと思う。目に焼き付けておきました。22日まで、今が一番ワクワクする」

 -改めて秋2戦を振り返って。天皇賞・秋で久々の勝利。

 「春が残念だったからね。ジョッキーは自信を持っていたけど、どうなのかなと思っていた。4コーナーで届くんかな?って。ペースが遅かったから。でも、ジョッキーは余裕やった。ホッとしましたよ。やった!って。一番うれしかったのがダービー。昨年の有馬記念は武ちゃんのケガがあったからホッとした。今回(天皇賞・秋)は春のうっぷんを晴らせてうれしかった」

 -表彰式は武豊ジョッキーがオーナーに声を掛けて心配していた。

 「ちゃうねん。盾をもらう時に手袋を持っていますよね?って言われて。持っているわけがない。用意してくれたのが小さい女性モノで。左右反対になって入らなかった。武ちゃんが“反対です”って(笑)」

 -そして、ジャパンCへ。

 「1週前に聞いたら“何の心配もないですよ”って。レースは見るのも余裕で、負ける気がしなかった。絶対はないけどね。ダービーの時に武ちゃんが自信を持っていたけど、あんな感じ」

 -4角手前で動き、先頭に立つまでが速かった。

 「未勝利のペース。4コーナーまくりは過去にない。さすが武豊。武ちゃんだからできる技やから。ドウデュースも強いけど、信頼関係。緊張したけど楽しかった」

 -海外馬も負かした。

 「ドウデュースは海外に3回行ったけど、あかんかった。今、ホントに行きたい。春に一つ勝っていたらフランスに行った。でも、それやと今はない。こっちの方が良かったのかもなぁ」。

 -A・オブライエン調教師と話をしましたか?

 「“強いね”って。エイダンは友達やから。馬もいっぱい預けている。最近、日本馬も強いなと思ったみたい。ドウデュース、(種を)付けに来るって言っていた」

 -表彰式のプレゼンターがイチローさんでした。

 「オーラがすごい。いい人やった。レースよりもイチローさんに会う方が緊張しますよって言ったら、“またまた~”って。武ちゃん友達やから、負けたらシャレにならんかった。外堀を埋められて、勝たなアカンみたいなね。武ちゃん、プレッシャーには慣れているやろうけど」

 -2つ勝って、有馬記念は出走しないかもという声もあった。

 「3つはしんどい。ドウデュースくんも大変やから。もういいかなとも思った。種牡馬入りも決まっているし、怖いじゃないですか。どうする?ってなった。でも、出なかったら世の中が怒るでしょ?神様が与えてくれた馬やから、みんなに最後まで喜んでもらって。こんな馬はなかなか出ないから。今、盛り上がってるやん。ありがたい」

 -今年はJRA70周年の節目で迎えるグランプリ。盛り上がるのはいいこと。

 「ウチの会社も70周年やねん。ええ年や」

 -ラストランに名残惜しさもある。

 「終わりやから、さみしいけど。ドウデュースの子どもや、いろんな馬がおるから。もう一回、ここまでとは言わなくても大きなところを勝ちたい。一発屋で終わったらあかんから。ドウデュースの後継者を」

 -所有馬の種牡馬入りは初めて。

 「牝馬でいい馬を持っているから、みんなドウデュースを付けて。武ちゃんの年齢との戦いやから。早いことせな」

 -ドウデュースの異父弟のエンダードラゴンもデビュー予定。

 「来年早々にね。妹もいるし、ミックスセールでコントレイルの子も買った。イクイノックスの子も買わなアカン。弟、妹は全部ね。イクイノックスの母(シャトーブランシュ)にドウデュースも付けるよ」

 -ジョッキーは“今が一番いい”と。引退撤回もあるのでは。

 「引退式で引退撤回したら、めっちゃ怒られる(笑)」

 -どういうラストランを期待するか。

 「武ちゃんが何とかしてくれるやろ。残り800メートルでちょいちょい上がっていって、まくって…かな」

 -オーナーにとって、ドウデュースとは。

 「人生を変えてくれた馬。運以外の何ものでもない。こんなことは一生味わえない。全部、武ちゃんと友道先生のおかげ。ありがたい。感謝しかない」

 ◆松島正昭(まつしま・まさあき)1958年2月23日、京都府出身。同志社大から一般企業を経て、85年に現(株)マツシマホールディングス(当時は京都マツダ)に入社。98年7月に代表取締役社長、2022年1月から会長に就任した。馬主としては(株)キーファーズ代表取締役社長。21年にクールモアと共同所有するブルームが仏サンクルー大賞を制してG1初勝利、同年にドウデュースが朝日杯FSを勝ち、JRA・G1初Vを飾った。翌22年にはドウデュースでダービーを制してダービーオーナーに。また、長女・悠衣氏が代表を務めるクラブ法人「インゼルレーシング」を設立した。

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