今年も気づけば2週間弱。1年を振り返り、満足のいく人もいれば、そうでなかった人もいるだろう。結果を出さなければ淘汰(とうた)されていく、そんな勝負の世界に足を踏み入れたルーキーの
橋木太希騎手(18)=栗東・西園正=も後者の1人だ。ただ、もがきながらも経験を重ねてゆっくりと前進。少しずつ光明も見えてきている。
ここまでJRAでの勝利は「1」。当初、自分に期待していた成績とはもちろん違う。栗東では他の同期3人が2桁勝利を挙げ、トップの高杉に至っては50勝に迫る活躍を見せている。「僕はまだまだ全然下手くそです」と橋木。自分の置かれた状況への悔しさ、そして危機感を抱いている。
小学生時代は甲子園を夢見る野球少年だったが、中学1年の8月にふと目にとまった乗馬体験に参加。動物嫌いのはずが「馬が魅力的でしたね。馬上の景色がすごく好きになった」とすぐにジョッキーになると決めた。
身内に競馬関係者もおらず、馬と初めて接したのも遅い部類。「やっぱり僕の場合は馬とのリズム…。チグハグな競馬をしてしまうことが多いです。『リズム良く運べたら、最後も脚が残っていたのかな』とレース後に考えたり。引っ張って出して、引っ張って出してだと馬にストレスだけかかりますから。行き脚のつかせ方も、いろんな先輩に教えてもらっています」と課題は山積みだ。
この1年間で格別だったのは初勝利の瞬間だった。9月29日の中京6R。自厩舎の
シャープソーンでJRA80戦目での初白星。「理想的な形に持っていけました」と表情を緩ませつつも、「何回も負けてしまい、本当に先生にも迷惑ばかり掛けました。感謝がありますし、その時に先生が喜んでくれたのがうれしかったです」とかみしめる。
「もちろんまだまだですけど…」と恐縮気味だが、飛躍へのきっかけもつかんだ。ヤングジョッキーズシリーズでは優勝こそ果たせなかったが、予選をJRAの関西1位で通過して決勝ラウンドに進出。「背筋だったり、体幹が強くなって無駄な力を使わずに抑えられるようにはなっていると思います。変に
バランス
バックして抑えるわけではなく、ジワッと。理想としている感じには近づいています」と肉体面の変化、そして騎乗フォームに安定感が出てきたことをうれしそうに語る。
水をあけられている同期には「いいやつばかりですけど、もちろんラ
イバル。差が開いてしまっていますから、返していきたいです」とキッパリ。「今年は振るわなかったので、来年は飛躍の年にしたいですね。もちろん残り少ない24年も頑張ります」。いつになく引き締まった表情で意気込みを語った。(デイリースポーツ・島田敬将)
2024/12/19 9:57
記事で名前間違えないであげて