【日本ダービー】2歳王者復権!7950頭の頂点 秋には凱旋門賞挑戦も 北村友一騎手は20年目でダービー初制覇 

スポーツ報知

2025年06月02日(月) 06:00

ガッツポーズで喜びをかみ締める北村友

◆第92回日本ダービー・G1(6月1日、東京競馬場・芝2400メートル、良)

 第92回日本ダービー・G1は1日、東京競馬場で行われ、1番人気のクロワデュノールがG1・2勝目で22年に生産されたサラブレッド7950頭の頂点に立った。北村友一騎手(38)=栗東・フリー=、斉藤崇史調教師(42)=栗東=はダービー初制覇。好位から抜け出す強い競馬で皐月賞2着の悔しさを晴らし、登録している凱旋門賞・仏G1(10月5日、パリロンシャン競馬場)への期待が膨らんだ。

 世代の頂点に導いた。クロワデュノールがナンバーワンだ―。満天下に知らしめるように、ゴール板を過ぎた北村友が右のひと差し指を1本立てると、何度もパートナーを指さした。「僕がダービージョッキーになったことより、クロワデュノールがダービー馬になれたことが何よりうれしい。最高のエスコートをできたことが一番良かった」と笑顔がはじけた。

 信じ抜いた。「馬を信じること。自分を信じることの一点だけ。パフォーマンスを出しさえすれば、絶対に負けないと信じていました」。昨年6月のデビューから5戦目。毎週のように調教でコンタクトを取り続け、能力を誰よりも知っているからこそ、日本ダービーという“夢舞台”で選択したのは、駆け引きなしの真っ向勝負だった。

 発馬を決めると促しながら好位を確保。向こう正面では3番手を追走した。道中で不利を受け、ポジションを下げた皐月賞の二の舞いにならぬよう、積極的に運び、不利を受けない位置で運んだ。直線では堂々と馬場の真ん中に持ち出し、残り350メートル付近で右ムチを一発。先頭に躍り出ると、鞍上の鼓舞に応えるように、パートナーも最後まで力強く伸び続けた。

 「人馬一体になっていたような気がした」。積み重ねてきた歳月が“究極”の騎乗を可能にした。同じ斉藤崇厩舎のクロノジェネシスで、20年に春秋グランプリ制覇した後の21年5月に落馬負傷。1年以上の戦線離脱を乗り越え、節目の20年目でダービージョッキーの称号をつかんだ。復帰後、G1初勝利となった昨年のホープフルSではあふれた涙もこの日はなし。役目を全うした達成感だけが身を包んでいた。

 父キタサンブラックと、その代表産駒イクイノックスも届かなかったダービー制覇。登録している凱旋門賞へ、サンデーレーシングの吉田俊介代表は「秋の選択肢のひとつではありますが、まずは様子を見てから」と明言は避けたが、秋には日本競馬の“悲願”に挑む可能性がある。「まだまだ伸びしろがありますし、クロワデュノールが世の中に知れ渡ってほしい」。北村友とクロワデュノールが紡ぐストーリーには、まだまだ続きがある。(戸田 和彦) 

 クロワデュノール 父キタサンブラック母ライジングクロス(父ケープクロス)。栗東・斉藤崇史厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績は5戦4勝。総獲得賞金は5億3248万6000円。主な勝ち鞍は東京スポーツ杯2歳S・G2、ホープフルS・G1(ともに24年)。馬主は(有)サンデーレーシング。

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