【南井克巳元調教師 豪腕の視点】エネルジコで菊花賞史上初の3連覇達成 自分が思い描いていたレースができたルメール

デイリースポーツ

2025年10月27日(月) 06:00

 直線で抜け出すエネルジコ(左端)=撮影・石湯恒介

 「菊花賞・G1」(26日、京都)

 1番人気のエネルジコが名手に導かれ、クラシック最終戦を制した。クリストフ・ルメール騎手(46)=栗東・フリー=は23年ドゥレッツァ、24年アーバンシックに続く勝利で史上初の3連覇、さらに先週の秋華賞エンブロイダリー)から2週連続のG1制覇を達成。またこの勝利で11年連続のJRA年間100勝も達成した。2着には2番人気のエリキング、3着には13番人気のエキサイトバイオが入った。

  ◇  ◇

 先週の秋華賞に続いて2週連続G1制覇。そして菊花賞では史上初の3連覇を達成。ここ一番という時のルメールは、展開やペースをよく読んでいて本当に上手に乗りますね。

 勝ったエネルジコはじっくりと後方を追走。3角手前からユタカ君が動いた後について行く感じで運び、4角では既に“この馬が勝つ”という手応えでした。体は細くなったように見えましたが、ああいう競馬をしたあたりは自信があったのでしょう。恐らく自分が思い描いていたレースができたんじゃないかな。

 2着のエリキングも勝ち馬の直後からよく頑張っていましたが、勝負どころでの手応えが違いましたね。力のある馬ですが、今の段階では勝ち馬が一枚上でした。3着エキサイトバイオは外枠からうまく流れに乗って、最後までしぶとく踏ん張りました。全体を通して見ても馬場が渋っていたこともあり、外枠の馬が上位を占めましたね。本来、競馬というのはずっと外を回るとしんどいもの。長丁場ではなおさらそうですが、きょうの1、2着馬は馬場を見極めてじっくりと運び、外々を回って正解。枠順とコース取りが勝負の分かれ目となりました。

 一つ言いたいことがあります。今年は皐月賞馬もダービー馬も不在の菊花賞でした。ちょっと寂しいですね。クラシックは3歳馬しか出られません。距離適性うんぬんは分かるし、海外挑戦も否定はしませんが、私としては一生に一度しかない“3冠”にぜひチャレンジしてもらいたい。それだけ重みのあるG1ですからね。新たな“3冠馬”の誕生を見てみたいですし、そう願っています。(元JRA調教師)

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