2002年05月29日(水) 00:00
先週のオークスに引き続き、今週は6月8日にエプソムで行われるダービー(G1、12ハロン10ヤード)の展望をお届けしたい。先々週のこのコラムで、プレップレースの勝馬が軒並みダービー未登録という話題をお伝えしたが、この2週間で状況は劇的に好ましい方向に転じ、非常に興味深いダービーになりそうである。
上位人気は2頭の馬が拮抗しており、大手3社では、ラドブロークスとウィリアムヒルがホークウィング、コーラルがハイチャパラルを1番人気に推している。いずれにしても、エイダン・オブライエンの管理馬なのだが。
2000ギニーでロックオブジブラルタルの2着に敗れたものの、際立った強さを見せたホークウィング。2000ギニーの後、25日の愛2000ギニーへ向かうプランもあったが、ここを回避して英ダービー1本に照準を絞っている。父ウッドマンという父系からは決して12ハロン向きとは思えないのだが、英国のファンはシーズンオフの間もずっとこの馬をダービーの本命にしてきた。力で距離を克服するか!?。
一方のハイチャパラルは、昨年のレイシングポストトロフィーの勝馬で、父サドラーズウェルズと、こちらは実績からも血統からもいかにもダービー向き。昨年ガリレオがステップにしたアイルランドのダービートライアルSを勝ち上がっての参戦となるが、その愛ダービートライアルでのレース振りが今一息だったため、戦線から抜け出すまでには至らなかった。
3番人気が、英ダービートライアルSを13馬身差でぶっちぎったバンダーリ。先々週のこのコラムでお伝えしたようにこの馬はダービー未登録なのだが、前走後、ドバイのハムダン殿下が推定額200万ポンド(約4億円)でこの馬を購買。新しい馬主さんは9万ポンドの追加登録料など"ヘ"でもない人だけに、次のステージで追加登録しての参戦が確実になった。
4番人気が、チェスターヴァーズをレコード勝ちしたファイトユアコーナー。この馬も2週前の時点ではダービー未登録とお伝えしたが、前走後こちらはシェイク・モハメド殿下が購買。追加登録して出走するダービーは、シェイク・モハメド殿下の御子息の服色で走ることになるようだこれだけでも超強力なマクトゥーム勢だが、5番人気以下にもズラリと彼らの関係馬が並んでいる。
5番人気が、2000ギニー凡走も、ゴドルフィン陣営が依然として「ウチのエース」というナヒーフ。6番人気が、重要プレップのダンテSを逃げきったムーンバラード。7番人気が、ダービー最終便のプレドミネイトSでようやく今季初登場し、調整途上ながらも2着に来たドバイデスティネーション。8番人気が、5月4日にニューマーケットの一般戦でデビュー勝ちした1戦1勝のアルムーラサムと、3番人気から8番人気まで6頭すべてがマクトゥーム陣営なのだ。まさに、クールモア対マクトゥームの一大決戦ムードとなりつつある英国ダービー。巨大エンパイアの威信を賭けた戦いとなりそうだ。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
合田直弘「世界の競馬」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。