福島牝馬S

2010年04月23日(金) 12:55

 創設されてまだ6回行われただけの重賞。各馬にほとんど斤量差のつかない別定戦ながら、体調の変動が激しい春の牝馬。寒冷地のため、年によって芝の成育度が大きく異なること。レースの流れがスローの年と、逆に小回りゆえのハイペースの年と、同じ1800mとは思えないほど変化すること。などの理由により、熱心な地元・福島のファンが大喜びしそうな波乱の連続。6年間の連対馬「12頭」の中に、6番人気以下の伏兵がちょうど半分の「6頭」も含まれている。もちろん、今年も波乱含み。

 5歳レジネッタ(父フレンチデピュティ)を狙う。桜花賞を12番人気の伏兵として勝ったあと、ここまで16連敗中。ブエナビスタの年や、ダイワスカーレットの年とは異なり、必ずしもレベルの高い年の桜花賞馬ではないが、この組み合わせで別定54kgなら好勝負だろう。連敗中とはいえ、ここ6戦連続して「0.2〜0.9秒」差。とくに前回の「中山牝馬S」は直線一気に突っ込み、今回も対戦する人気のウェディングフジコ(2着)とは0.1秒差だけ。前回は55kgだった斤量も54kgになった。今回は初ブリンカー。鞍上に配したのは中舘騎手。巻き返して不思議ない要素がそろっている。

 2週前の「阪神牝馬S」は除外されてしまったが、GI馬のため56kgを背負う必要があった斤量はここでは54kg。少し時計がかかりそうな芝コンディションも、ほぼ平坦に近いコースも、フレンチデピュティ産駒は総じて得意にしている。流れも「スロー」に陥る心配はないはずである。連敗中の牝馬狙いは理にかなわない危険もあるが、前出の09年、07年は別格としても、06年の桜花賞馬キストゥヘヴンは16連敗のあと。04年のダンスインザムードは14連敗のあとに、5歳になって重賞を勝っている。最近の牝馬はかつてと異なり、少しもひよわくなどないのである。

 ウェディングフジコの吉田隼人騎手は、制した重賞6つのうち、3つまでが福島というコース巧者。絶好調ウェディングフジコはもともとが平坦巧者。インを衝くパターンもできているところへ、引いた枠順も文句なし。最大の強敵としたい。

 上がり馬コロンバスサークル、実績のジェルミナル、チェレブリタ、ブラボーデイジーなど相手は広がってしまうが、どのみち荒れること必至だから、マイネレーツェル、渋いアルコセニョーラも加えたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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