プリンシパルS

2010年05月07日(金) 12:50

 今年からこのダービートライアルの「OP特別」は、勝ち馬だけが日本ダービーの優先出走権を獲得できることになった。たしかに「プリンシパルS」をステップにダービーに出走し、好走(連対)したのは96年のダンスインザダーク(1→2着)までさかのぼらないと存在しない。

 勝たなければダメ、2着では意味なしとあって、今年は全出走馬が獲得賞金「400〜900万」の1〜2勝馬となった。2着でもOK…の賞金をもつ馬は、当然のように「京都新聞杯」に回る。京都新聞杯には獲得賞金「1700〜1850万」の有力馬がいるが、しかし、それもボーダーで、最終ステップでダービーに出ようというのだから、京都新聞杯組もきびしいことには変わりない。

 ダービーになんとか出走したい。出走したからといって候補になるわけでもないが…、という現時点で1〜2勝の力量の馬が、なんとかして「勝つ」ためにどういう作戦に出るのか予測するのはきわめて難しい。ダメ元で思い切り良く…という積極策はありえるが、大事にロスなく立ちまわって、隙なしの騎乗で力を出しきるしかない。そんな陣営が多いように思える。

 ここは大半がどちらかといえば差しタイプ。先行のマルカボルトから入りたい。ハナを切りたいトランブルーはいるが、総合スピード能力は明らかにマルカボルトが一枚上。事実上の主導権を握れる相手だろう。ひとたび隊列が決まれば、無理な動きをする馬は出現しないとみる。

 前回の2000m「2分01秒7」の逃げ切りは平凡な時計のようにみえて、あの開催、高速の芝ではなかったから決して遅くはない。同じ週、古馬1000万条件の2000m特別があり、前半1000mはほぼ同じペースで流れて「2分02秒0」。その館山特別で善戦止まりだったミッキーミラクル、フェニコーン、ヴィーヴァミラコロ、トウショウデザートなどの古馬はすぐに勝ち上がっていま1600万に昇級している。また、マルカボルトが約2馬身差をつけたクォークスターも次走すぐ順当に快勝して、今回2勝馬としてまた対戦する。あの2000m逃げ切り勝ちは価値があったのである。

 福永騎手とのコンビでは今回と同じ2000mを4戦。新馬戦は好位のまま3着だが、そのあとはすべて先手を主張して[2-1-0-0]。広く直線の長い東京コースになると、福永騎手は先手を取るケースが多くなるイメージもある。

 最後は止まったが、皐月賞で一瞬はあわやの見せ場を作って0.5秒差のダイワファルコン。未勝利勝ちがこの東京芝1800mで、大外一気に上がり33.7秒が強烈だったミカエルビスティーが本線。そのあとにルーラーシップ(しかし、この馬の兄弟はトライアルで出走権がかかるケースが多いように思える)、内のバシレウス、前出のクォークスター、2月の東京でペルーサと接戦のブルーグラスを押さえたい。

 「新潟大賞典」は、6歳後半からやっと本格化し、北村友一騎手とのコンビで2000m[1-0-1-0]のチョウカイファイトから入る。ホクトヘリオスが代表する一族の出身、平坦コースは大歓迎である。引き続き絶好調キープ。左回りの方がいい

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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