北海道トレーニングセール

2010年05月26日(水) 00:00

 5月25日(火)、朝から小雨の降り続くあいにくの天候に見舞われたが、札幌競馬場を会場に、「北海道市場トレーニングセール2010」が開催された。

(写真・会場風景) 

 当初、名簿上では198頭がエントリーしてきたものの、最終的には178頭が上場され、100頭が落札。売却率にして56.2%である。

 雨にたたられた「長い一日」であった。午前8時半よりダートコースを使用しての公開調教が始まった。全体を3組に分け、1グループは約60頭程度。基本的に2頭併せで向こう正面あたりからスタートし、徐々にスピードを上げて残り2ハロン(400m)から計時される。

 ラップは「12秒00、11秒50」というように表示され、ゴール前残り200mのタイムは後の方である。ただし、併せることなく、単走で公開調教を行う上場馬も15頭いたために、全体では100組もの数に及んで、これだけでかなりの長時間を費やした。

 スタンドに陣取っていると着込んでいなければ肌寒いほどの気温。終日10度前後で推移したはずで、おまけに雨。公開調教の合間に、暖かい飲み物を求める人が多く、何とも恨めしいような天候であった。

 場内にはサンドイッチや豚汁、そば、うどん、おにぎりなどが無料で配布されるコーナーもあり、昼食時にはそば、うどんのカウンターに行列ができるほどであった。

 ところで、公開調教クルー表に元中央競馬騎手の安田富男さんの名前があった。同姓同名の人かと思っていたら何とご本人なのだ。安田さんは栃木県下でTOMY育成という牧場を開設しておられる由。この日は161番「クリスタルティアズ2008」(父ティンバーカントリー、牡栗毛)に騎乗し、公開調教に登場した。年齢は現在62歳。JRA全場の重賞制覇という記録を持つ人だが、まさかこんなところでお目にかかるとは思わなかった。(残念ながらこの161番は主取りに終わった)

(写真・161番公開調教) 

 公開調教の一番時計(1ハロン)は、10秒49をマークした131番「ウィーンコンサート08」(父タニノギムレット、牡鹿毛)。兄にタガノバスティーユ(ファルコンステークス優勝馬)がおり、こちらは出色の動きの良さからこの日の高額順で三番目となる2625万円(税込み)で落札された。(有)吉澤ステーブルからの上場馬で落札は高山幸雄氏。

(写真・131番公開調教) 

(写真・131番立ち写真) 

 せり開始は午後1時。時折止む時間帯もあったものの、雨は依然として降り続く中、せりが始まった。購買者の多くはテントの中かスタンドにて雨を避けながらの参加となり、何とも居心地が悪そうでお気の毒であった。

 なお、最高価格馬は19番「トネスボウス2008」(父ゼンノロブロイ、牡鹿毛)の5565万円(税込み)。激しい競り合いから見る見る間に価格が急上昇した。門別牧場の上場馬で落札はグローブエクワインマネージメント。ゼンノロブロイ産駒の好成績が人気を呼んだ形となった。

(写真・19番公開調教) 

(写真・19番立ち写真) 

 二番目の高額馬は61番「ホーネットピアスの2008」(父キングカメハメハ、牡鹿毛)の2730万円。ノーザンファームの上場馬で、落札は濱野順之助氏。

(写真・61番公開調教) 

(写真・61番立ち写真) 

 高額馬が出たことにより、全体の売り上げも5億9283万円と、昨年より1億2915万円増加したものの、売却率は4.4ポイントほど下落して56.2%。落札価格の上下差がより一段と目立った市場であった。ちなみに最低価格は105万円。

 平均価格は、牡727万1250円。牝391万3875円。唯一のディープインパクト産駒として上場された146番「オースミシャイン2008」は場内の注目を集めたものの残念ながら主取りに終わった。

 来月8日には会場を浦河に移して「ひだかトレーニングセール」が開催予定である。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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