ひだかTS開催

2010年06月09日(水) 00:00

 昨年より約1か月近くも遅い6月8日(火)、浦河のJRA日高育成牧場を会場に「ひだかトレーニングセール」が開催された。

 海岸部では終日13度〜14度くらいの涼しい気温だったらしいが、10キロほど内陸に入った場所にあるせり会場は、晴天とともに気温も急上昇し、汗ばむほどの陽気となった。つい数日前までは暖房器具が手離せなかったことからすると、面食らうほどの急変ぶりだ。

 今年の上場頭数は前年より13頭増えて最終的に66頭。ただし、上場馬決定までにかなり紆余曲折があり、名簿も計4分冊に及んだ。

 もともとの名簿はかなり早い段階から出来上がっており、それには69頭が記載されていた。そしてJRAブリーズアップセールに上場できなかった2歳馬が、15番と16番、73番と74番に入り、別冊子の追加名簿で紹介されている。ここまでは良いとして、実は追加上場馬は他にもいて、もう一冊の「追加名簿2」と称する別刷の冊子が加えられ、さらに「ブラックタイプ追加成績」(2010、3.22〜5.23)まで付録として添えられているために、4分冊になったという次第だ。

 最終的には82番まで上場馬の番号があったものの、1頭が取り消しになっているために81頭が名簿に記載され、ここから実に15頭が欠場したために、最終的に上場馬が66頭になったということである。わかりにくい名簿であった。

 公開調教は午前10時。札幌から車で3時間半もかかる場所のために、こんなゆったりとした時刻に設定されたものか。

(写真・仮設スタンド) 

 仮設スタンドには、定刻の少し前より購買者や関係者が続々と集まってきた。公開調教は予定通りに開始された。

(写真・公開調教風景) 

 全体を3グループに分けて、基本的に2頭併せで行われるのは、先頃、札幌競馬場で行われたHBAの北海道トレーニングセールと同様だ。

 ただ、予想外に時間を要し、正午までかかってしまったため、その後の比較展示もまたせり開始の1時ぎりぎりまで延びることになった。

(写真・比較展示) 

(写真・空席の目立つ場内) 

 会場横には飲食ブースが用意されていたものの、日程が全体的に「押して」いたことから、十分な昼食時間を確保できなかった点が悔やまれる。慌しい雰囲気の中、予定より少し遅れて13時10分からのせり開始となったが、まだこの時点では購買者席はガラガラで、会場の外で食事中の購買者が多かった。にもかかわらず、場内には流れているアナウンスが外には聞こえにくく、必要な情報が遍く伝わっていなかった。

 購買者登録はむしろ昨年よりも多く100人は超えていたという。だが、せりはやや低調ムードで、終わってみれば66頭中、30頭の落札。売却率は45.45%。前年比で9.27ポイント下落する厳しい結果であった。

 売り上げ総額は2億664万円。前年よりも1249万5千円増加した。落札頭数はほとんど前年と変わらなかった(29頭→30頭)ので、平均価格も669万円から688万円へと微増であった。

 最高価格馬は、51番「バヒラー2008」。父DUBAI DESTINATION、牡栗毛の、2730万円(税込み)。近親に活躍馬の多い名血で、激しい競り合いの末に(有)ビッグレッドファームが落札した。販売者は(有)武田ステーブル。生産はDJF。

(写真・バヒラー2008調教) 

(写真・落札瞬間) 

(写真・立ち写真) 

 さて昨年は、牡馬に限っては25頭中19頭(76%)が売れたが、今年は42頭中22頭の落札に止まり、売却率も半分をようやく超えた程度。牝馬に至っては、24頭中8頭の落札で、かなりの苦戦を強いられた形だ。

 全体を通じて主催者であるひだか東農協の谷川利昭組合長は「やや甘く採点すると60点。可もなく不可もなくといったところ」と総括したが、もう少し上場頭数を確保したかった、せめて100頭は欲しいと市場を振り返った。

 開催時期、開催場所については、今後に向けての検討課題になるはずで、あるいはHBAとの共催も視野に入れて行かねばなるまい。ただ「ここ(浦河)で開催するからこそ、馬を上場できる育成業者もいるのは確か。だから簡単にHBAと合体するわけにも行かない」と谷川組合長はコメントしていた。

(写真・報道陣に囲まれる谷川組合長) 

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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