春のクラシック好走馬の年明け初戦考察(2)

2011年01月29日(土) 00:00

 今回のテーマも、2001年から去年まで10年間に春のクラシックで3着以内に来た馬の年明け初戦について。先週は1月に始動した馬を取り上げましたが、今回は“2月始動馬”にスポットを当てます。

 対象馬100頭中、年明け初戦が2月のレースだった馬は23頭。そのうち、きさらぎ賞から始動した牡馬とエルフィンSから始動した牝馬が6頭ずつ、共同通信杯からという牡馬とクイーンCからという牝馬が3頭ずついました。これらをあわせると18頭。2月に始動して春のクラシックで好走した馬のほとんど(78.3%)が、この4つのレースから走り始めています。

 エルフィンSを年明け初戦にして春のクラシックで活躍した牝馬の代表は、何と言っても07年のダービー馬ウオッカ(桜花賞でも2着)でしょう。あとは、02年の桜花賞馬アローキャリー、同年のオークス2着馬チャペルコンサート、06年オークスで2着のフサイチパンドラ、08年の桜花賞馬レジネッタ、去年の桜花賞で3着のエーシンリターンズ。わりとコンスタントに上位馬を送り出しているようです。

 一方、きさらぎ賞から始動した牡馬のほうはちょっと極端。06年に、同レース2着のメイショウサムソンが皐月賞&ダービーの2冠を制し、5着のアドマイヤメインがダービーで2着、1着のドリームパスポートが皐月賞で2着、ダービーで3着に入りました。つまり、ダービーの1〜3着馬がいずれも“きさらぎ賞始動組”だったわけです。ほかでは、01年の皐月賞とダービーでともに2着のダンツフレーム、07年ダービー2着のアサクサキングス、09年ダービー2着のリーチザクラウンがいます。06年のメイショウサムソン以外は2、3着馬ばかり。このへんは、皐月賞、ダービーで馬券を買うときのヒントにしていいかもしれません。

 先週取り上げた“1月始動馬”には、正月開催の新馬戦でデビューした馬がけっこういました。それじゃぁ“2月始動馬”はどうかというと、03年のダービー2着馬ゼンノロブロイ(2月9日2回中山4日目新馬1着)と、06年のオークス馬カワカミプリンセス(同26日1回阪神2日目新馬1着)しかいません。ここまでデビューが遅くなると、桜花賞、皐月賞路線に加わるのはほぼ不可能。オークス、ダービーに間に合う馬が現れるのも、10年に一度くらい、と考えていいでしょう。

 取りあえず、私が言うまでもありませんが、2月に行われるきさらぎ賞、エルフィンS、共同通信杯、クイーンCを今年の初戦に選んだ馬の走りには要注目。それらの馬と、正月開催から始動した馬の中に、春のクラシックで1〜3着に好走する馬の約7割がいるはずですから、しっかりチェックしておきましょう。“3月始動馬”さえ見ておけば大丈夫ということはありません。油断禁物ですよ!では、また来週。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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