2011年06月24日(金) 18:00
せっかく行くなら、やはり競馬に関連したところがいい。岩手競馬では、震災後のかなり早い段階で、被害の大きかった専用場外発売所のひとつ、テレトラック釜石の廃止が発表されていた。それが今どんな状態であるのか、そして津波にのまれた釜石の街も見てこようと思い、6月20日(月)に現地に足を運んだ。
このテレトラック釜石は、釜石市郊外の水海川河口から数百m入った河川敷にあり、なるほど大きな津波が来たらまず被害を受けるだろうと思われる場所にあった。とはいえ河口部分にはかなりの高さの津波の防護壁があり、津波がそれを越えてくるなどは想定外と言われてもしかたないように思えた。
上の写真のとおり、外観ではほぼ原形をとどめていたが、近づいて見ると1階の内部はこのとおり。
めちゃくちゃだ。反対側が見通せるように、水の塊がここを貫通していったことがよくわかる。この状態を見ると、建物そのものの被害よりも、馬券の発払い機や、それに付随する電子機器などの被害のほうが金額的にははるかに大きかったのだろう。
被害のあったテレトラックは、ほかに岩手県の宮古、宮城県の三本木が復旧工事のため閉鎖されていたが、三本木のほうは25日からの再開が発表され、この週末にはトークショーなどのイベントも行われる。
また地元紙などの報道によると、スタンドの被害が大きく開催不能になっていた水沢競馬場も地全協からの補助が内定し、11月中に復旧するメドが立ったようだ。
当初は12月5日まで、盛岡競馬場のみでの開催という日程が発表されていただが、この水沢競馬場の復旧によって、その後水沢で1月上旬までの追加開催も検討されているようだ。岩手競馬も徐々に復興に向かって動き出した。
今回の震災後、釜石の街や人を題材にした『復興の狼煙(のろし)ポスタープロジェクト』というのが話題になっているのをご存じだろうか。そのポスターのキャッチのひとつに、「前よりいい町にしてやる。」というのがあった。岩手競馬の関係者にしてみれば、「前よりいい競馬をしてやる。」そんな気持ちで競馬に臨んでいるのではないだろうか。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。