京阪杯

2011年11月25日(金) 18:00

 京都芝1200mの最大の特徴は、今回の人気の中心ロードカナロア(父キングカメハメハ)の勝った「京洛S」が前後半「34秒6-33秒4」=1分08秒0だったように、他場(とくに中山)とはちがって、1200mながらレースバランスとすると変則にも近い「スロー」になること。1200mのスプリントレースにスローペースもないが、コース形態がもたらす影響以上に前半のペースが落ち着く。

 これに高速の芝シーズンが重なり、かつインの芝絶好だったりすると、当然のように「先行タイプ」は止まる道理がない。ただ、強力な切れを持つ馬も楽々と追走できるから、明らかに力量の馬や、鋭い切れを備える馬は必ずしも条件不利とはならない。ロードカナロアの前回は、勝ったこの馬自身のバランスは「35秒3―32秒7」となる。

 もう1頭、人気の中心ジョーカプチーノ(父マンハッタンカフェ)が今年の1月に勝った「シルクロードS」は、さらにややこしい流れで、レース全体は「34秒8-33秒4」=1分08秒2。ジョーカプチーノは「35秒6-32秒6」=1分08秒2だった。

 つまり、この人気の2頭、本質は快速系の先行タイプだが、「それにしても……」の京都1200mの特殊な流れでも、結果を残しているところに信頼がおける。今回、仮にいつもの京都1200m以上の「前半34秒0」くらいでなにかが行ってくれると、この2頭、簡単にはバテないからますます有利になる。

 実績断然はジョーカプチーノだが、目下の勢い、デキの良さ、3kgの斤量差を考えると、これをマークする位置に収まりそうなロードカナロア有利だろう。ジョーカプチーノは止まらないが、鋭く伸びるのはロードカナロアと考えたい。

 2頭に破綻がないとちょっと割って入るのは難しい気もするが、カケ率しだいで買いに出てもいいのは、立ち直っているグランプリエンゼル(ウイリアムズ騎手)、同じく今回は本来のデキに近づきつつあるワンカラット、シルクロードSで上がり32秒6で伸び、ジョーカプチーノに追いすがったアーバニティの3頭だろう。キョウワマグナムは人気なので、3連単への入れ方が難しい。

 以下は、行数合わせ。ロードカナロアがもっと強くなったときに使えそうな牝系ネタ。

 ロードカナロアの母方は典型的なアメリカの名門牝系で、母の父はストームキャット。その前がリボー系コーモラント、インリアリティ、リヴァリッジ、ボールドルーラー…と連続し、6代母がサムシングロイヤル(父プリンスキロ)である。したがって、5代母になるシリアンシーは、サーゲイロード、ファーストファミリー(ホウヨウボーイの父)などの半妹にあたり、セクレタリアト(父ボールドルーラー)の全姉になる。快速ニシノフラワーの3代母ザブライドも全妹になる。また、やがて産駒がデビューすることになる芦毛の種牡馬チチカステナンゴの6代母もこの兄妹の1頭である。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

新着コラム

コラムを探す