道営ホッカイドウ競馬開幕

2012年04月26日(木) 18:00

 いよいよ今年度の道営ホッカイドウ競馬が25日に開幕した。これから11月中旬まで計80日間の開催である。この日の日高は晴れていたもののところどころ濃い霧のたちこめる天候で、日中でもヘッドライトを点灯させて走る車が少なくなかった。海岸に近い門別競馬場もやはり濃霧に包まれていた。

 午後3時25分に第1レースが始まった。場内はこの日を待ちかねた大勢のファンが足を運んでいたが、日高特有の濃霧が終始競馬場を覆い、そのせいで気温がなかなか上昇しない。10度前後ではなかったか。この気温だと、服装は春モードではさすがに寒く、そのためにスタンド内に陣取るファンが多かった。

スーパーフレッシュCはミータローが勝利

スーパーフレッシュCはミータローが勝利

 開幕日の目玉は、第6レースに行われる「スーパーフレッシュチャレンジ」(認定競走)と、11レースに組まれている「第36回北斗盃」(H2)だ。

 スーパーフレッシュチャレンジ競走は、その名の通り、全国に先駆けて実施される2歳新馬戦で、9頭がエントリーしてきた。距離は1200m。人気を集めたのは、社台ファーム生産のダイワメジャー産駒フォリッド。4月12日の能力検定で800mを52秒4で1着入線しており、緒戦向きの父の血統も評価され1番人気に支持された。

 レースはそのフォリッドが引っ張り、8番ナガシメ(父プリサイスエンド)が続く展開となったが、3番手を追走した9番ミータローが直線に向くと鮮やかに抜け出し、楽な手応えで後続馬を引き離してゴールイン。圧勝であった。

 ミータローは父プリサイスエンド。母サカノエンジェル(その父リンドシェーバー)という血統の牡馬。田中淳厩舎所属。服部茂史騎手が騎乗。馬主は中央でもお馴染みの“Dr・コパ”さんこと小林祥晃氏。

 1着賞金300万円は開幕日のこの日限定の豪華版で、仕上がりの早い馬はここを狙ってくる。ミータローについて、騎乗した服部騎手は「単なる短距離馬ではなく、先々楽しみな馬。砂を被っても平気だし、瞬発力があり、良い脚を長く使える。距離が伸びてもOKだと思います」とレース後語っていた。

ロクイチスマイル

北斗盃ロクイチスマイルが優勝

 この日のメーンは第36回北斗盃。道営三冠競走の第一弾として開幕日に組まれており、14頭が出走した。1着賞金は250万円ながら昨年同様、副賞にはJBC協会よりヨハネスブルグ賞(来年度の配合権利)が馬主に贈られる。

 1番人気に支持されたのは5番ロクイチスマイルで、以下ゲンキ、アテーナ、ハイタッチと続いた。多くの馬が昨秋以来の実戦で、予想の難しいレースだったが、5〜6番手を進んだ1番人気ロクイチスマイルが直線で食い下がるフレンズアートを半馬身退け、そのままゴールイン。

 6レースと同じく、服部茂史騎手騎乗、田中淳司厩舎という組み合わせで、この日は「服部=田中」コンビが大活躍であった。優勝したロクイチスマイルは父クロフネ、母マベルチェリー(その父Kenmare)の3歳牝馬。生産は新冠・川上悦夫氏。馬主は佐藤陽一氏。

宮平鷹志騎手

荒尾から移籍の宮平鷹志騎手

阿部龍騎手

今春デビューの阿部龍騎手

 なお、この日、道営に新たなニューフェースが登場した。廃止となった荒尾競馬場から移籍してきた宮平鷹志騎手(30歳)と、地方競馬教養センターを卒業して今春よりデビューする阿部龍騎手(17歳)の2人である。

 3レースが終了すると場内に2人が紹介された。阿部龍騎手は、この日1、3、6、7と計4レースに騎乗し、8着、3着、3着、7着とまずまずの好騎乗ぶりで、この分なら初勝利も近いだろう。

 また宮平鷹志騎手はこの日9レース八重桜特別のデオンワードリーベのみの騎乗だったが、直線で果敢な追い込みを見せ3着に入線した。

 レース後、さっそく囲み取材を受けた宮平騎手は「荒尾時代の『たんぽぽ賞』(2011年12月1日、ティエムハエンカゼで優勝)以来ですかね、こんなに緊張したのは」と笑顔を見せながら、「門別はコースが広くて、荒尾ならば内側3頭の外は回るなという鉄則があったんですが、ここは直線も長いし、4頭分くらい外から捲って行っても大丈夫ですね」と語っていた。こちらも、いずれ道営初勝利の日が近々やってきそうだ。因みに宮平鷹志騎手は、プロとしては国内でただ1人の沖縄県出身者である。

 ところで初日のこの日、1113人が入場して売り上げは1億5114万円。昨年と比較すると、入場者数で653人の減、売り上げでも1695万円少なく、やや厳しいスタートとなった。昨年は開幕日に12レースが組まれていたことなど考えると、これはやむを得ないところなのだろうか。

 ともあれ、今年は待望の屋根付き坂路も完成し、調教がよりスムーズに行えるようになったのは事実で、何とか目標値をクリアしてほしいところだ。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

新着コラム

コラムを探す