2012年05月04日(金) 12:00
注目を集めた春の天皇賞。断然の1番人気を背負ったオルフェーヴルが大敗…。しかも再び4コーナーで外へ行き、最後は何度も脚をとられている走りに。見ていて本当に辛かったです。きっと皆さんも同じ気持ちだったと思いますし、何よりも陣営がその思いだったことでしょう。
この敗因、いろんな理由が考えられると思いますが、私個人の見解としては阪神大賞典での逸走によって行わなければならなくなってしまった調教再審査、この影響があったように思えます。
あの時に私はコラムでも書きましたが、調教再審査を行わなければならなくなってしまったことは、「オルフェーヴルの競走馬生命の危機的状況である」と。そして、「まずは無事に試験をパスすると共に、心身に与える影響が少ないことを願うばかり」と書きました。
馬は生き物。そして人間と同じく心を持った動物。ましてや言葉で会話をすることができないのですから、なぜ自分がいつもと違うことを強いられるのか? 理解することはできません。
天皇賞前に感じた、細く映った馬体とボロのユルサ、そして当日の装鞍所で見たオルフェの前さばき硬さ…。当日、関西テレビに出演していた際、その様子を私の気のせいならばいいのですが…とリポートしましたが、心のどかで、もしそれがオルフェも感じていることだとしても、それでも彼ならばやってくれるだろうと願い期待をしていましたぁ…。
しかし天皇賞のあのフォームと走りを見る限り、逆に期待をしすぎてしまったことが、オルフェに申し訳なく思えました。これまで名馬と言われた馬たちの中にも、不思議なほど途中からパタリと走らなくなる、オーラが消える、顔つきが変わる、そんな事がよくありました。これは一見、突然起こるかのように思われますが、馬にもそれなりの理由があるのだと私は感じています。
今回、調教再審査を受けなければならなくなってしまった時、池江師もおっしゃられていましたが、「人間の思うような調教ができるようになったとたん、レースでは逆に走らなくなるケースがある」と。
ですから今回の走りによって池江師は、馬体の面での心配はもちろんのこと、それ以上にオルフェの心の面に心配をされているように感じます。とにかく今は、オルフェの無事とオルフェの心が強い頃の彼のままでいること、それを願うばかりです。
さぁいよいよ今週から5週に渡っての東京競馬場でのG1レースとなります。それでは皆さん、当日は東京競馬場もしくはフジテレビ「みんなのKEIBA」でお逢いしましょう。
ホソジュンでしたぁ。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
細江純子「ホソジュンの幸せ馬房」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
細江純子
愛知県蒲郡市出身。JRA初の女性騎手として96年にデビュー。2000年には日本人女性騎手初の海外勝利を挙げ、01年6月に引退。 現在はホース・コラボレーターとして、フジテレビ系『みんなのKEIBA』などに出演。