2012年06月01日(金) 10:00
いつの間にか、風が止まっている。
海に向かってゆるやかに傾斜する放牧地に立った杉下将馬は、あたりを見回し、首をかしげた。
まだ夕凪になる時刻ではないのだが、海風に運ばれてくる潮の香りが薄らいでいる。海岸通りを走るクルマのエンジン音や漁港のざわめきが、いつもより遠くから聞こえるような気がした。
2011年3月11日、午後2時半を回ったところだった………
--- 福島県南相馬市にある小さなサラブレッド生産牧場。そんな静かな土地を東日本大震災が襲い、大津波が全てを飲み込んでいきました。そこで奇跡的に生き延びた1頭のサラブレッドが、様々な人々との絆の中でたくましく成長し、クラシックを目指していくストーリー。
著者は「消えた天才騎手―最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡」(白夜書房)で、2011年度JRA賞馬事文化賞を受賞した島田明宏氏。初回は6/4(月)18時で、その後は毎週月曜日18時に更新されます。どうぞ、ご期待ください。
(netkeiba.com版バナーイラスト:霧島ちさ)
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島田明宏
作家。1964年札幌生まれ。ノンフィクションや小説、エッセイなどを、Number、週刊ギャロップ、優駿ほかに寄稿。好きなアスリートは武豊と小林誠司。馬券は単複と馬連がほとんど。趣味は読書と読売巨人軍の応援。ワンフィンガーのビールで卒倒する下戸。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』など多数。『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』で2011年度JRA賞馬事文化賞、小説「下総御料牧場の春」で第26回さきがけ文学賞選奨を受賞。最新刊はテレビドラマ原作小説『絆〜走れ奇跡の子馬』。 関連サイト:島田明宏Web事務所