週刊サラブレッドレーシングポスト

2003年03月04日(火) 15:59

 2月25日にフロリダのコールダー競馬場で行われた『ファシグティプトン・コールダー2歳トレーニングセール』は、総売り上げが前年比1.3%ダウンの2907万ドル、平均価格も前年比1.3%ダウンの209,187ドル、中間価格が前年比14.2%ダウンの15万ドルという結果となった。

 総売り上げと平均価格が前年に比べて微かな減少だったのに対し、中間価格は大きなダウンというのは、2月上旬に行われた『OBSコールダー』と全く同じ市況の動きであり、どうやら今季の2歳市場はそういう傾向で進んでいくようである。

 上場馬のピンフック・プライス(コンサイナーの仕入れ値)の平均が、前年に比べると22%下落してたことを考えると、むしろ上出来とも言える結果だが、マーケットにおけるプレイヤーの絶対数が少なく、中間層以下を支えきれないという傾向は、市場の動向としては将来に不安を感じざるを得ないところだ。

 市場最高値は、上場番号142番の父テイルオヴザキャットの牡馬。1回めの公開調教で1F=10秒フラットの最速時計をマークしていた馬で、マイケル・テイバー氏の代理人のデミ・オバーン氏が、140万ドルで購買した。

 日本人によると見られる購買は19頭。

 最大の注目は何と言っても、市場3番目の高値となる85万ドルで購買された、上場番号22番の父クリスエスの牡馬。馬っぷりが厩舎スズメの間で早くから評判になっていた馬で、2回めの公開調教で1F=10秒4の時計をマークした時の動きも抜群だった。購買したのは、関口房朗氏。フサイチペガサスのニール・ドライスデール調教師をアドバイザーとして購買したが、落札後の談話で「日本で走らせる」と断言。血統的にも芝はもってこいのはずで、極めて楽しみな逸材が日本にやってくることになった。

 日本人2番目の高値となる42万5千ドルで購買された上場番号271番の父グランドスラムの牡馬も、相当の大物だ。これも馬っぷりの良さが目立っていた上に、1回めの公開調教で1F=10秒4の好時計をマーク。既に完成された風格が備わり、即戦力としての魅力が漂う一方、血統的には叔父に古馬G1サンフアンカピストラーノHを制したアメリークがおり、奥行きもありそうなタイプである。

 この他、馬体・血統ともに大物感漂う上場番号166番の父アンブライドルズソングの牡馬、武骨な身体つきとは対象的なしなやかな歩様を見せる上場番号240番の父メニフィーの牡馬、1回め公開調教で2ハロンでは3番目の好時計となる21秒6をマークした上場番号284番の牝馬なども将来が非常に楽しみで、今年もPOGファンにとっては結果分析を怠ることが出来ないセールとなったようだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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