2012年10月09日(火) 18:30
日本中のホースマンが夢に見てきた凱旋門賞。オルフェーヴルは多くのファンの期待を背負い、日本調教馬としては先輩の3冠馬ディープインパクト以来となる単勝1番人気の支持を受け、レースに臨んだ。18頭立ての大外枠から、道中は最後方。残り300mで先頭に立ち、独走態勢に入ったものの、目標を失うと急激に斜行し、最後はO・ペリエ騎手騎乗のソレミアの強襲に屈した。その着差はわずかにクビ。
苦渋の表情を浮かべるスミヨン騎手
宝塚記念の優勝後、8月26日にシャンティー入りしたオルフェーヴル。初めての長距離輸送、現地での調整、そして前哨戦の快勝と、今回のフランス遠征はすべてが順調に進んだ。フォワ賞から凱旋門賞までの3週間は攻め馬を強化し、当日は「今までで一番」(池江泰寿調教師)という究極の仕上がりで、ゲートに収まった。極悪の不良馬場、枠順と、コントロールできない部分での不運には見舞われたものの、日本の現役最強馬はそうした悪条件をはねのける規格外の競馬で、世界中の競馬ファンと関係者に対し『最強』は満天下に証明してみせた。
それでも、「競馬で一番強い競馬をしたのはオルフェーヴルかもしれませんが、勝負は勝たなくてはなりません。つまり、きょうは相手が一枚上だったということ。こうした結果になった以上、どこかに足りなかったものがあったのだと思います」と、池江泰寿調教師は唇を噛みしめる。
世界にその名を轟かせた日本の至宝は、シャルルドゴール国際空港から成田空港へ向け9日に出国。着地検疫を経て、16日にはノーザンファームしがらきに移動。国内復帰戦は11月のジャパンカップか、暮れの有馬記念となることが有力だ。ゴール直前、馬体を内ラチにぶつけてしまうシーンがあったものの、幸いなことに大きなダメージは見られなかった。黄金の3冠馬の挑戦はこれで終わったわけではない。
単勝42倍の穴をあけたソレミアの次走はBCターフで、来年も現役が続行される予定だ。
■沢田康文 1984年生まれ、東京都出身。スポーツニッポンを経て、2009年に渡仏。以後、パリを拠点に競馬ライター・カメラマンとして活動中。主な媒体は優駿、週刊Gallopなど。NHKBS1「世界の競馬」の海外特派員も務める。私淑する人は鷺沢萠さん。
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