ポイントはメインレース、重賞はビシッと1点買いで

2012年11月03日(土) 20:00

 先週10月28日のWIN5は506万4660円の高配当決着。波乱の立役者は天皇賞・秋を制したエイシンフラッシュと魚沼Sを制したデルフォイで、それぞれ単勝5番人気の低評価を覆しました。特にデルフォイは単勝支持率が6.1%(単勝オッズ12.9倍)あったものの、WIN5の残票率(残った票数÷全レース終了時点で残っていた票数)はわずか3.4%。要するに、WIN5では単勝の半分程度しか支持されていなかったということです。仮にデルフォイの残票率が単勝支持率と同程度であれば、WIN5の配当は300万円前後に止まっていたんじゃないでしょうか。

 こうした現象が起きた原因のひとつとして考えられるのは、デルフォイが約1年1か月の休養明けだった点。半年以上の休養明け緒戦でWIN5対象レースを制した馬はこれまでに11頭いますが、このうち残票率が単勝支持率を上回っていたのは、2011年9月18日の初風特別を勝ったアポロフィオリーナ、2011年6月19日の利根川特別を勝ったトーセンアレスの2頭だけです。もっともこの2頭は単勝1番人気だった馬。大抵の単勝1番人気馬は残票率が単勝支持率を上回る(=WIN5の方がより厚く支持される)ので、「WIN5は長期休養明けの馬が嫌われがち」と結論付けても構わないでしょう。程度の差はあれど、休養期間が半年までいかない馬にも同様の傾向はあります。

 もちろん、休養明け自体は多くの馬にとってマイナスファクターですから、そうした馬ばかり狙うのは考え物。ただ、柔軟に資金を配分できる単勝と比べると、WIN5は予算上の都合で泣く泣く切っている方が多い印象です。高額配当や妙味ある配当を狙うのであれば、こうした傾向はぜひ覚えておきたいですね。(伊吹雅也)

【井内利彰のWIN5見解】
■今週の1点勝負レース
→東京11R アルゼンチン共和国杯
 過去5年のアルゼンチン共和国杯の勝ち馬のうち、4頭が本数の多い調教タイプ。まずはこれで該当馬を絞ることができます。その中でも信頼度が高いのは、前開催の東京芝2400mを乗込併用で勝っているムスカテール。速い上がりが必要になる高速馬場で勝っているアドバンテージは大きいと思いますし、再度の東京遠征でも調教を緩めなかった点を高く評価しました。

推奨馬:7.ムスカテール

■今週の多点買いレース
→福島11R フルーツラインC
 2008年から2010年に行われたフルーツラインCの勝ち馬に共通するのが、最終追い切りでの「スピード調教」。どういうことかというと、調教馬場は坂路かポリトラック、ラスト1Fは12秒前後、追い切り強さは馬なりか強めといったもの。これに該当するトーセンプリモとハワイアンシュガーはまさに調教条件が合います。あと美浦坂路で好時計(4F49.8秒)のスピード調教を行っているキンショーユウジャ。

推奨馬:6.キンショーユウジャ、7.ハワイアンシュガー、9.トーセンプリモ

【奥田隆一郎のWIN5見解】
■今週の1点勝負レース
→東京10R アユートピアS
 イチオクノホシは、同コースの重賞のクイーンCを連対している。休み明けから1600万クラスを善戦しており、今回は得意コースに替わることや牝馬限定で相手が楽になることから、勝ち負けになる。

推奨馬:4.イチオクノホシ

■今週の多点買いレース
→京都10R 渡月橋S
 セイカプリコーンは、500万、1000万、1600万のすべてのクラスを京都ダ1400mで勝利している。休み明けの近2走を、阪神と東京で叩いて良化している。もっとも得意なコースに替わり、万全の態勢で出走するため、前走の惨敗から巻き返しがある。メイショウマシュウは、デビューからの8戦で馬券圏外に敗れたのは前走だけである。その前走は、休み明けとスタート直後の不利が敗因。休養前に同コースの1600万特別を勝っており、今回は勝ち負けになる。アドマイヤサガスは、前走で同コースの1000万特別を制した。休養前には、同コースと直結コースの阪神ダ1400mにて1600万クラスの馬券になり、昇級は形だけとなる。前走に続いて、今回も得意な京都ダ1400mに出走するため好勝負できる。

推奨馬:2.セイカプリコーン、7.メイショウマシュウ、12.アドマイヤサガス

【古澤秀和のWIN5見解】
■今週の1点勝負レース
→京都11R みやこS
 ここはローマンレジェンドで鉄板だろう。非常に馬体が充実して、ただでさえ力が抜けているのに、内目有利の馬場で内目を捌くのが上手い騎手。逆らいようがない。強い馬も他にいるが、ここは1点勝負で大丈夫だろう。

推奨馬:2.ローマンレジェンド

■今週の多点買いレース
→京都10R 渡月橋S
 ラガーリンリンはケージーハヤブサと競る形になると苦しいが、この枠なら先手を取れそうだし、あまり相手が来るようなら控えても大丈夫だろう。枠順の利を生かして頭まであっても。セイカプリコーンは決め手があるし、今の軽い馬場は合っている。京都コースに良績もあるし、ここは巻き返しで頭まであっても。タイセイシュバリエは先行力が魅力。好位の内でロスなく運べればチャンス十分。ナガラオリオンは軽い馬場が合っているし、ここでも通用する決め手を持っている。流れがある程度速くなれば出番。アドマイヤサガスは元々がこのクラスで走っていた馬。それほど魅力はないが、押さえは必要だろう。

推奨馬:1.ラガーリンリン、2.セイカプリコーン、5.タイセイシュバリエ、9.ナガラオリオン、12.アドマイヤサガス

【伊吹雅也のWIN5見解】
●今週の1点勝負レース
→東京10R ユートピアS
 2009年以降は5歳以上の馬が[0-1-1-22]。実績や勢いのある3〜4歳牝馬が参戦しやすいレース条件ということもあり、高齢馬は苦戦しています。また、前走が1600m未満だった馬は2009年以降[0-0-1-11]。芝1600m以上が合いそうな馬を重視すべきでしょう。注目は北村宏司騎手とパストフォリアのコンビ。内めの枠に入ったレースでは安定していますし、このメンバー構成なら3連勝を期待できそうです。

推奨馬:1.パストフォリア

●今週の多点買いレース
→福島11R フルーツラインC
 福島ダート1150mで開催されている2005年以降は、ダート1200m未満のレースで優勝経験のなかった馬が[1-2-3-35]。一方、ダート1000mで優勝経験があり、なおかつ単勝オッズ30倍未満の支持を集めていた馬は2005年以降[4-3-3-13]と安定していました。ダート1200m以上のレースを得意としている馬よりも、ダート1000mがベストと思われる馬を重視すべきでしょう。狙ってみたいのはキャプテンサクラ、ヤマニンパピオネ、ケビンドゥ、アスターヒューモアの4頭。休養明けのレースに実績のあるヤマニンパピオネ、ケビンドゥあたりは馬券的な妙味もあるんじゃないでしょうか。

推奨馬:1.キャプテンサクラ、2.ヤマニンパピオネ、14.ケビンドゥ、15.アスターヒューモア

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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