これまでが繋がっての勝利に

2012年12月07日(金) 12:00

 先週のジャパンCダート、レース後の競馬場は実に温かみのある、そして初々しい表彰式となりました。勝利したニホンピロアワーズはもちろんのこと、鞍上の酒井学騎手、調教師、厩務員にとっては初G1制覇でした。

 そのため、みな表彰式の段取りが分からず、厩務員さんは馬をおいて1人馬場へ、その馬を本馬場に連れてきた調教師、また勝利騎手インタビュー後、自分はどこに行ったらいいのか分からず、馬場の入り口付近で遠慮しがちに立つ酒井騎手と、何とも微笑ましい雰囲気でした。

 また騎手生活15年。年間1勝の年もあり、騎手として続けていくことができるか否か? 悩んだ時期もあった酒井騎手。その苦しい時期の1勝が、ニホンピロコナユキ、そう小林オーナーの馬だったのです。厳しい状況下でも自分を信じて騎乗依頼をしてくれるオーナー、そのオーナーのために何としてでも結果を出したい、酒井騎手のそんな思いが形となって表れた勝利でした。

 しかも、コンビを組み続けてきたからこそできた、最後の直線での追い出しの我慢。レース前、「早めに抜け出すと、いつもフワッとしてしまう。だからこそ、追い出すタイミングだけはシッカリと見極めて乗りたい」と話していた酒井騎手。

 これまでの道のりが繋がる素晴しい勝利に、一緒に戦った陣営からも、「よかったね、おめでとう」の祝福の声。

 そして終わってみれば、1〜3着がともにコンビを組み続けてきたメンバーでの結果に。やはりGIの舞台ともなると、どれだけ愛馬のことを理解しているか? その点が大きなウエイトをしめるのだと、改めて感じるものでした。

 さぁ、今年の競馬も残すところあと3週となりましたぁ。今週は2歳のオンナの仔による戦い阪神JF。

 注目は須貝厩舎勢。スタート・道中・シマイの脚と総合力の高さがうかがえるコレクターアイテムも魅力ですし、秋山騎手騎乗のローブティサージュは、前走以上のケハイの様子(当日の馬体重は気になるところですが…)。ウォーエンブレム産駒の特徴を考えての使い方が、今回のレースでいい方向にでそうな気が。

 また佐藤正厩舎のサウンドリアーナは、前走から距離が1ハロン延びることは決してプラス材料ではありませんが、デムーロ騎手とのコンビならばやってくれそうな感じも。

 それではみなさん、当日は競馬場もしくは関西テレビ「競馬BEAT」でお逢いしましょう。ホソジュンでしたぁ。

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細江純子

愛知県蒲郡市出身。JRA初の女性騎手として96年にデビュー。2000年には日本人女性騎手初の海外勝利を挙げ、01年6月に引退。 現在はホース・コラボレーターとして、フジテレビ系『みんなのKEIBA』などに出演。

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