2013年02月12日(火) 18:00
活躍馬を次々に送り出す秘密を探りに、今週は安田隆行厩舎へ行ってきました。カレンチャンが引退し、皆さんさみしがってるかなと思い、そっとのぞきこみながら大仲へ侵入…。安田翔伍調教助手(安田隆行調教師の実子にして、厩舎を支える調教助手!)を直撃します!
安田翔伍調教助手
また、2012年度JRA賞の最優秀4歳以上牝馬にカレンチャン、最優秀短距離馬にロードカナロア、JRA賞に2頭も選ばれて素晴らしい活躍ですね。ロードカナロアは、香港で轟いた会心の勝利の咆哮が素晴らしかったですね。カレンチャンは、2011年度にもJRA賞の最優秀短距離馬に選出されました。1月20日に行われた「カレンチャン号」の引退式はどんな思いでしたか?
翔伍 :ファンの皆さんに最後の走りを見ていただきうれしかったです。堂々としてたな。まだまだ走ってもらえそうな輝きがありましたね。ずっと背中に乗ってきたからね。さみしいと言えばさみしいですが、これからもっと大きな仕事があるので、生まれてくる仔が楽しみですよ。沢山産んで欲しいですね。
常石 :カレンチャンの赤いトレーナーが印象的でしたね。これからはどんな馬を作って行きたいですか?
翔伍 :オーナーやファンのニーズに応えられるような馬を育てていきたいですね。
カレンチャン12年高松宮記念
ロードカナロア12年香港ST(高橋正和)
翔伍 :たまたま短距離で良い結果を残したけど、特にこだわっていません。馬の持つ能力を見つけ出すのが僕たちの仕事だと思っています。いろんな距離で活躍する馬を作りたいですよ。長距離馬も面白いですからね。
(安田隆行)調教師はとっても柔軟だから、マイルでダメだったら短距離に切り替えたり、あるときは跨ってもらった福永騎手や蛯名騎手にも意見を聞いて参考にしています。スタッフみんなで相談してやっています。
常石 :翔伍さんの調教の腕は“凄腕”と聞いてますが、大学で乗馬をされていたんですか?
翔伍 :いえいえ。まだまだ未熟ですが、馬に乗ってるのは楽しいですよね。高校時代にアイルランドに渡り、本場の馬乗りの勉強をしました。ヨーロッパは馬と共に生活しているので、「馬に乗れて当たり前」って感じでしたね。環境も良く、自然の中で過ごしている感じでした。1年間の修行を経て、帰国後はノーザンファームでいろいろ経験させていただき、今の安田厩舎で働かせてもらっていますよ。
日本には日本の良さがあるので、それを生かしていきたいです。チャンスがあるので、一番良いパフォーマンスができるように、若い人たちにも頑張ってもらいたい。クビにならんようガンバラな(笑)。
常石 :わはははっ(爆笑)。お兄さんの景一朗調教助手とともに安田厩舎の“二本の矢”として頼もしい存在ですよね。お父さんの安田隆行調教師と“三本の矢”になると、もっと強くなりますよね。
このメンコが厩舎のトレードマーク
父も脳挫傷をしたことがあったそうですが、僕は知らないんですよ。僕が9歳の頃小倉競馬場で活躍していたので、小倉競馬場へ行くのが楽しみでしたね。小倉競馬場は馬がすぐそばにいて迫力がありました。そうそう、常石さんがタケイチケントウで小倉3歳Sを勝った時、僕ちょうど小倉競馬場にいたんですよ。応援してました。
常石 :そうなんや! 嬉しいな。ありがとうございます。安田先生が現役の時、一緒のレースに出走していたことがありますね。懐かしいな。先生は小倉ですごい活躍されていましたからね。小倉の重賞を全部勝ってると思うな。
翔伍 :北九州記念だけ勝ってなかったんですよ。調教師になってからトウカイミステリーでやっと念願の小倉(全重賞)を制覇しましたね。
常石 :景一朗さんとの役割分担などはあるんですか?
翔伍 :兄は馬の出し入れを中心に、僕は厩舎の中の仕事です。勿論、調教もやってます。父はオーナーとの連絡や馬を探しに行ってますね。厩舎のことは僕たち兄弟に任せてくれているので、やりがいがありますね。勿論厩舎スタッフみんなで馬のことを考えて動いてます。
常石 :これからの期待馬を教えてください
フェブラリーSグレープブランデー
フェブラリーSにはGI馬グレープブランデーが出走予定。東海Sは中団でしっかり脚を溜めて、それを直線で生かせる様にレースを運ぶと、大飛びの馬だけど最後はしっかり反応して重賞2勝目。今回は騎手も3度目になるので、この馬の癖もよく分かり作戦を練っているようです。弾みをつけて行きたいです。
家族が集まれば競馬談義に夢中になるという。奥さんや子供がいるのを忘れるくらいだそうです。馬が大好きでしっかり馬を作っていきたいという翔伍さん。家族と言うのは厩舎スタッフみんなだそうです。仕事の分担もきちんとされ、丁寧に馬との会話を楽しんでいました。期待馬がいっぱいですね。カレンチャンの初仔も今から待ち遠しいです。今日はありがとうございました。常石勝義ことツネカツでした。[取材:常石勝義/栗東]
◆次回予告 次回のゲストは田辺裕信騎手。昨年末にJRA通算300勝を達成。2013年の年明けは開幕ダッシュを決め、勝利数も既に二桁に乗せました。2/12(火)が29歳の誕生日。気持ちを新たにした田辺騎手を赤見千尋さんが直撃します。公開は2/19(火)18時、お楽しみに。
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常石勝義
常石勝義 1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。