アンタレスS

2013年04月12日(金) 18:00

 昨年末の東京大賞典を制した5歳ローマンレジェンド(父スペシャルウィーク)は、5月の「かしわ記念」で始動し、6月26日の「帝王賞」に向かうことが発表されている。アンタレスS組のこのあとの大きな目標はその帝王賞(JpnI)2000mであり、昨年のゴルトブリッツはこのアンタレスS圧勝して帝王賞制覇に結びつけた。

 帝王賞のJRA枠は6頭。いま、公営勢にはダートのチャンピオン級を名乗れるエースはいないから、ここで始動する昨年のジャパンCダートのニホンピロアワーズ(父ホワイトマズル)、上昇目覚しい4歳ホッコータルマエ(父キングカメハメハ)あたりが、ローマンレジェンドとともに帝王賞の主役になる。

 目下のデキの良さ、斤量はニホンピロアワーズの59キロより2キロ軽い57キロを考慮すると、人気でもホッコータルマエ優位は動かない。昨年12月のジャパンCダートでは、圧勝したニホンピロアワーズに約4馬身(0秒7)も離された3着にとどまったが、当時はまだ3歳。エスポワールシチーの作ったかなり厳しい流れを2番手で追走する苦しい展開だった。

 エスポワールがバテたところを一度は先頭に立ったが、ニホンピロアワーズに軽くひねられている。しかし、ローマンレジェンド(4着)には先着し、2着に差してきたワンダーアキュートには半馬身しか先着を許していない。

 一戦ごとにパワーアップしている現在、佐賀記念、名古屋大賞典を大楽勝の2連勝中。ニホンピロアワーズが59キロで休み明け。ここは勝機だろう。

 父キングカメハメハは現在、日本のダート部門のチャンピオンサイアー。ホッコータルマエの牝系はもう半世紀もアメリカに定着する一族で、祖母の父はアンブライドルド、その前がボールドフォーブス、さらにその前がダマスカスの父になるスウォードダンサー、さらにカウントフリート…。コテコテのアメリカ血統である。今回は先行型に少しくらいきびしい流れになっても簡単にはバテないはずだ。

 59キロでも入念に乗り込んできたニホンピロアワーズは、もともとポン駆けOK。陣営が「見苦しいレースはできない」とする好仕上がり。評価は落とせない。

 粘り腰強化のバーディバーディ(父ブライアンズタイム)、好仕上がりのトミケンアルドール、フレイムオブピース、ナイスミーチューがこれに続くが、特注馬は4歳オーブルチェフ(父Malibu Moon、その父A.P.Indy)。2歳暮れの全日本2歳優駿(ダート1600m)以来16ヶ月ぶりはあまりに不利だが、スケールあふれる力強い馬体でこれまでダート戦はすべて圧勝し、[4-0-0-0]。このあと間違いなくダート界のチャンピオン急に育つと思える。いきなり好勝負がありえる。レースぶり注目。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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