青葉賞

2013年04月26日(金) 18:00

 青葉賞が日本ダービーとそっくり同じ東京2400mで行われるようになったのは、ストックブックを広げると、シンボリルドルフが日本ダービーを勝った1984年のことだった。やがて、重要度を評価されて重賞に昇格したのが1994年であり、直後の1995年から「ダービートライアル」となった。ここまで単なる特別戦の当時を含めて、2400mの青葉賞の歴史「29年」。ここを踏み台に、みんなが熱望するダービーで3着以内に快走した馬は、11頭存在する。

1986年グランパズドリームの「青葉賞2着→日本ダービー2着」を最初に、89年サーペンアップ「1→3」、91年レオダーバン「1→2」、94年エアダブリン「1→2」、96年メイショウジェニエ「5→3」着。2000年代になってから、02年シンボリクリスエス「1→2」、03年ゼンノロブロイ「1→2」、04年ハイアーゲーム「1→3」、06年アドマイヤメイン「1→2」。そしてここ2年が、11年ウインバリアシオン「1→2」、昨12年のフェノーメノ(日曜日の天皇賞・春に出走)が「1→2」着。

 しかし、トライアルなりの結びつきはあるが、なぜか日本ダービーの勝ち馬となった馬は1頭もいない。トップグループの皐月賞組は十分に間隔をあけて待っている。一方、ここで出走権のほしい青葉賞出走グループは、トライアル仕立てで勝てるような甘いレースではないから、ほぼ全力を出してきびしい東京2400mを走ってしまう。

 上昇の波に乗っていても、よほどタフな馬でないとダービーの4週前に2400mは応えるのだろう。藤沢和雄厩舎のレッドレイヴン(父スマートストライク)は、人気に応えてここを勝っても、シンボリクリスエスや、ゼンノロブロイと同じかもしれない。

 本番で通用するメドの典型的なパターンは、2分24秒台で乗り切ったか。あるいは、2分25〜26秒台でもいいが、その場合は楽々と自身の上がりを「34秒そこそこ」でまとめたかにある。必死は良くない。

 候補のあふれる混戦と思える。もう2戦も連続して2400mに出走して、2着、1着の関西馬アドマイヤスピカ(父キングカメハメハ)から入りたい。前回の2400mはいかにスローだった(前後半1分19秒2−1分10秒4)とはいえ、レース上がり「10秒9-10秒9-11秒5」=33秒3を、この馬は控えて進み、自身の上がり「32秒8」で差し切ってきた。サンデーサイレンスの肌にキングカメハメハは、ローズキンダムと同じで、なおかつ同様にフランス色の濃い牝系。ミルリーフ(もう古くなりつつあるが)のクロスを持つところまで同じ。しいていえば、こちらの方が長距離OKだろう。

 候補が多すぎてとても絞れないので、前々回の東京2400mで明らかに脚を余した印象が強いヒラボクディープ(国枝厩舎。父ディープインパクト)、前出の藤沢厩舎のレッドレイヴン(ちょっと距離適性に疑問もある)を本線に、ラストインパクト(父ディープインパクト)、トウシンモンステラ(前走、アドマイヤスピカに勝っている)、急上昇を感じさせるサトノノブレス、ダービーフィズに流したい。

 青葉賞組は「ダービー2着まで」がもうすっかり浸透しているが、ぜひ、これはダービー馬ではないか、と確信させるような超新星の出現に期待したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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