馬はロボットじゃない、生き物

2013年06月28日(金) 12:00

 胸に響く内田騎手の勝利騎手インタビューでしたぁ。当日、パドックから地下馬道そして本馬場入場と一連の動きをみていましたが、明らかに天皇賞時よりも元気がある様子だったゴールドシップ。発走直前のゲート裏で、「今日は前回と違う。馬場入りの際もヤリソウナ感じだった」といい意味でヤンチャをしそうな愛馬の雰囲気に安心感を得ていました。

 天皇賞での大敗から2週に渡って栗東に滞在をしてレースへと挑んだ内田騎手。あえて求めすぎない調教方法をとりたいと、2週に渡る追いきりも急かすのではなく、自発的に前へと気持ちが向くように促していました。その譲る判断が、スタート後のゴールドシップのポジション取りに繋がっていたように思えます。

 ゲートが開いた後、内田騎手は行けと指示はしましたがその後は馬自身が反抗することなくスッと動いており、明らかにここ最近にみせていた気持ちとは違った様子。わずか2週、しかも正確に言えば追いきり翌日の曳き運動もあり、内田騎手が調教に跨ったのは5日。この5回でこれほどまでに馬が変わるのか?と驚きを感じると同時に、日々の調教がいかに大事であるか?馬の心と向き合うことがどれだけ大切なことであるか?心底感じるものでした。馬は言葉を喋らない分、人間がどれだけその馬の事を理解してあげられるか?その点がホースマンにとっての1番の課題。しかしその一方で、人それぞれの考え方もあり、何が正しいのか?その点が目に見えないところも…。

 しかしながら今回見せたゴールドシップの2週に渡る追いきりのラスト1ハロンの様子と、レースでの最初と最後の走りからは、学ぶべきことが非常に多くあったように思えます。ディープブリランテで日本ダービーを目指した時の岩田騎手もそうでしたが、トップに君臨をしていた地方出身騎手の方々の地方時代に培われた馬作りの手腕と、中央に移籍された今、こうして厩舎へと積極的に参加をしていく行動力と勇気、そしてきちんと結果をだすところが本当に凄いの一言。ただただ頭の下がる思いであり、見習うべきこと、学ぶべきことがたくさんあるように思える今回の勝利でした。皆さんはどうお感じになられましたか?

それでは皆さん、また来週お逢いしましょう。
ホソジュンでしたぁ。

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細江純子

愛知県蒲郡市出身。JRA初の女性騎手として96年にデビュー。2000年には日本人女性騎手初の海外勝利を挙げ、01年6月に引退。 現在はホース・コラボレーターとして、フジテレビ系『みんなのKEIBA』などに出演。

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