香港の2012／2013年シーズンが、7月10日(水曜日)のハッピーヴァレイにおけるナイター開催で幕を閉じるが、これに先駆けて、香港ジョッキークラブから年度表彰の受賞馬が発表された。

　香港年度代表馬に選出されたのは、ミリタリーアタック(セン5、父オラトリオ)だ。アイルランド産馬で、イギリスで競走馬としてデビュー。3歳時に6戦し3勝を挙げているが、重賞や特別への出走経験はなかった。2011／2012年シーズンの後半から香港に移籍。クラス2からのスタートで、このシーズンはクラス2のハンデ戦に2勝したものの、唯一挑んだ重賞の香港G1香港ダービー(芝2000m)は6着に敗退。一線級と戦うには明らかに力量不足というのが、昨シーズンまでのミリタリーアタックだった。

　だがおそらく陣営が、シーズンオフの間の調教を通じてこの馬が力を付けているという手応えを掴んでいたのであろう。今シーズン緒戦にいきなり香港G2シャティントロフィー(芝1600m)に挑み、アンビシャスドラゴンの4着に好走している。もっともシャティントロフィーはハンデ戦で、アンビシャスドラゴンとミリタリーアタックの間には20ポンド(＝約9キロ)ものハンデ差があったから、初めての重賞入着を記録したものの、まだまだその力量が認められたわけではなかった。

　続く国際G2ジョッキークラブマイル(芝1600m)9着、国際G1香港カップ(芝2000m)5着と負けが続いた後、ようやく重賞初制覇を果したのが、1月9日にハッピーヴァレイで行われた香港G3ジャニュアリーC(芝1800m)だった。

　ところが、続く香港G1スチュワーズC(芝1600m)は9着に大敗。次走香港G3センテナリーヴァーズ(芝1800m)も6着に敗れ、本格化には程遠いかと思わせた。

　この馬がようやく、陣営の期待に相応しい競馬を見せ始めたのは、今シーズンも終盤戦を迎えようとしていた今年2月以降のことだ。2月24日にシャティンで行われた、香港古馬3冠第2戦の香港G1香港ゴールドC(芝2000m)に優勝。それも、それまでは前半後方待機から直線で末脚を活かす競馬をしていたこの馬が、先行して抜け出すという味な競馬を見せての勝利で、いよいよ本格化をうかがわせる内容だった。

　ミリタリーアタックは、続く香港G3プレミアプレート(芝1800m)も快勝。続く国際G1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)では、地元のアンビシャスドラゴンやカリフォルニアメモリー、日本から遠征したエイシンフラッシュ(牡5、父キングズベスト)ら強豪を相手に、同斤で優勝を飾り、一気に戦線の最前線に躍り出ることになった。

　ミリタリーアタックの今季最終戦となったのが、5月19日にシンガポールのクランジで行われた国際G1インターナショナルC(芝2000m)で、ここも危なげのない競馬で快勝。今シーズンの成績を10戦5勝、うち2勝が国際G1という申し分のないものとして、堂々年度代表馬に選出されることになった。同馬は同時に、香港ミドルディスタンスチャンピオンに選出され、更に、ファン投票で決まるモースト・ポピュラー・ホースのタイトルも獲得している。

　ミリタリーアタック陣営は、2013／2014年シーズン最初の目標として、10月にオーストラリアのムーニーヴァレイで行われるG1コックスプレート(芝2040m)参戦を視野に入れていると伝えられている。

　また、チャンピオンマイラーには、国際G1香港マイル(芝1600m)や香港G1クイーンズシルヴァージュビリーC(芝1400m)を制したアンビシャスドラゴン(セン6、父ピンズ)が。チャンピオンステイヤーに、国際G1香港カップや香港G1チャンピオン＆チェイターC(芝2400m)を制したカリフォルニアメモリー(セン7、父ハイエストオナー)が。チャンピオンスプリンターに、シンガポールの国際G1インターナショナルスプリント(芝1200m)や香港G1チェアマンズスプリント(芝1200m)を制したラッキーナイン(セン6、父ドゥバウィー)が、それぞれ選ばれている。