高橋亮調教師が開業!同期たちから祝福の声

2013年10月15日(火) 18:00

 樫の女王メイショウマンボが中団から差し切っての快勝。史上7頭目のオークス・秋華賞制覇は見事です。「夏を越して馬も人も大人になりました」とジョークを交えての会見を行った幸四郎騎手、堂々の横綱競馬でしたね。

 飯田厩舎は“メイショウ”の馬にゆかりがあって、アヤメ→モモカ→マンボと、牧場やオーナーとの長い付き合いで、人とのつながりを大切にしてきました。「少しは恩返しできます」「オークスの時はフランスへ研修に行っていて生観戦ができなかったので、二冠目を見られ感激です」と、飯田祐史調教師(息子)が話されてました。

 僕も京都競馬場でライブで見たんですが、4角でデニムアンドルビーに馬体をあわされた時、自分の位置と進路をしっかり守ってゴール前で力強く抜け出してきました。マンボを信頼してたからこそ、慌てることなく騎乗できたんでしょうね。流石です。おめでとうございます。豊騎手とのワンツー、そして豊騎手のGI・100勝に待った! をかけたんですよね。

 さて、僕ら“花の12期生”の話題もいっぱいです。

 ユーイチ(福永騎手)が4年連続5回目のJRA年間100勝を達成。騎乗したトーホウアマポーラは、同期の高橋亮調教師の管理馬。「亮の馬で100勝できたのは嬉しいです」と。

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JRA年間100勝を達成した福永祐一騎手

 そして、細江純子さんに9月24日、待望の男子出生です。悪戦苦闘しているようですよ。また、ただ1人女性騎手で頑張っていた増沢(牧原)騎手が引退です。さびしくなりますね。

 今週は、9月21日に開業した高橋亮調教師を直撃です。騎手から調教師になった最年少記録です。


常石:初勝利おめでとうございます。ユーイチで勝ってくれてうれしいですね。開業8戦目でJRA初勝利はすごいですね。 田島先生の勇退で開業が早くなって、準備が大変だったでしょう?

高橋:いやいや、誰が乗って勝ってくれてもうれしいですけどね。ユーイチに騎乗依頼をしてたんですが、なかなか空いてなくて。やっと乗ってもらうことができました。やっぱり頼りになるよ。オーナーと田島先生が、トーホウアマポーラといういい馬を残してくれて、いいタイミングでレースを迎えられたおかげです。感謝です。

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“花の12期生”調教師第一号の高橋亮師

常石:ユーイチが「乗りやすく調教してくれ、いいタイミングで乗せてもらいました」と言ってましたが、亮調教師が調教でこだわってるのはどんなところですか?

高橋:特別には無いけど、引き継いだ馬で成績を残してる馬はそれでいいと思うけど、上手く勝てなかった馬はまったく違うことをやってみたり、見方や方向性を変えることで再発見できることがあると思う。

新馬はこれから作っていく楽しみがあるので、いろいろな牧場へ行って見てきました。特に社台ファームには約1か月住み込んで、世界のトップブリーダーの現場を体験させてもらいました。騎手時代には約3か月間米国に滞在して、ホースマンとしての経験をさせてもらいました。思っていたことと実践では違うので、いろいろ手探りで探しながらやっていきます。一人ではなくスタッフみんなが一緒にやってくれるから、頼もしいです。

常石:調教師を目指そうと決めて、荒川調教師の元へ行って勉強されたんですか?

高橋:もちろん。荒川先生に4年間厩舎経営のノウハウをいろいろ教えていただきました。騎手デビューの時は橋口厩舎に入って、いろんな勉強をさせてもらいました。今思うとまだまだ学ぶことがあったなと思う。橋口先生には先輩としてアドバイスをもらっています。田島先生にもアドバイスをもらって、早い頃から僕の思うようにやらせてもらっています。

常石:お父さん(高橋隆元調教師)にも相談できて、強い味方がいますね。

高橋:父はまだ何も言いませんね。自分の思う通りにやればいいと、黙って見てくれています。この方がちょっと恐い存在ですね。

常石:騎手は大体決まっているんですか?

高橋:もちろん同期とはみんな仲がいいから、馬を作っていく上でもコンタクトが取りやすいので頼りにしてるよ。特にユーイチは馬主さんを紹介してくれたり、頼りになるね。そうやって人脈も広げています。いろんな騎手に騎乗してもらいたいですが、オーナーと相談しながら決めていきます。

そう言えば、つねちゃんも乗馬してるんやな? しっかり腕を磨いといてや〜。乗ってもらわな!(笑)

常石:ハイ! 頑張ります(爆笑)。馬主さんは、大体決まっているんですか?

高橋:いろんなオーナーさんが馬を入れてくれています。ありがたいですね。競馬社会に育ったけど、まだまだ若くて未熟なので、教えてもらうことばかりですよ。

常石:騎手から調教師になられて活躍されている方は、たくさんいますもんね。今年キズナ号で凱旋門賞に挑戦した佐々木先生なども。

高橋:騎手時代に一緒に乗っていた人が調教師になられていますからね。特に西園先生は親しみやすいな。

常石:厩舎のカラーは決まりましたか?

高橋:水色と黒です。父の高橋隆厩舎で使っていた黒と、母の祖父・大久保石松元調教師が使っていた水色を使います。

常石:いろんな方の思いがこめられたカラーなんですね。これからの夢を教えてください。

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思いを込めた厩舎カラー

高橋:競馬って面白いもんだと思ってる。その面白さをどう伝えるかが僕らの仕事。ファンは厳しいものだから、それに応えていかないといけない。競馬は勝っていかないといけないと思うけど、その中に馬だから伝えられるロマンがあると思う。それを大事にしていきたいですね。

僕らの仕事は勝つのも大事だけど、まずは人と馬が無事に帰ってきてくれて、そこで結果がついてくるということないでしょう。この仕事が大好きですし、面白いと思ってます。自分が面白いと思わないと、競馬の面白さは伝わらないと思う。馬の情報をどんどん伝えていきたいですね。だから取材には積極的に協力していきたいです。

ある雑誌に載っていたんですがJRAの騎手を目指すミルコ・デムーロ騎手の言葉が印象的でした。

「勝ことだけではなく、競馬に携わる人全てに愛され、ファンからも応援してもらえるベストジョッキーになりたい」

とってもいい思いだと思う。レジャー産業として定着した競馬だからこそ、僕自身も楽しんで仕事をしていきたい。そうじゃないとファンにも楽しんでもらえないと思う。ミルコの言葉を借りると、僕は「ベストトレーナー」になりたい。

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太宰啓介騎手と!騎手たちとも和気あいあい

常石:貴重な時間をありがとうございました。1勝2勝と積み上げていってください。楽しみにしています。


 最後に、同期から応援メッセージをもらっています。

■ユーイチ騎手
 僕も乗せてもらえる厩舎が増えて嬉しいです。楽しみです。

競馬の職人

福永騎手「乗せてもらえる厩舎が増えて嬉しい」

■古川騎手

 同期で調教師なんて凄いよな。僕も負けてられない。頑張ります。

競馬の職人

古川騎手「同期で調教師なんて凄い」

■和田騎手

 え〜、ホンマに調教師か!? びっくりしたよな(笑)。でも、亮ならやれると思っていたけど。おい、亮! ……ではあかんな。“亮先生”と呼びます。僕にも乗せて下さい。

 また、先生方にもいただいています。

■荒川調教師
 これからは同じ位置に立って競馬をしていきます。亮君の思いで馬を作っていってください。応援していますが、僕も負けられませんね。でも、応援しています。

■橋口調教師
 よく頑張ってここまで来たね。でも、本当の競馬はここから始まります。がんばって!

■飯田祐史調教師(技術調教師)
 亮は中学校の時から調教師になりたいと言ってたな。僕の先輩になりますね。頑張ってください。

 いろんな方から応援してもらって、活躍が楽しみですね。競馬学校時代から「騎手よりも調教師になりたい。でも、騎手を経験したらよりいい調教師を目指せると思う」と言っていた亮。夢を実現し、新たな夢を追いかけてください。

 僕も同期に少しでも負けないようにと、全国障害者馬場馬術大会に参加しました。残念ながら結果は2位でしたが、「目指せパラリンピック!」と夢だけはでっかく持っています。乗馬は難しいので、もっともっと練習します。つねかつこと常石勝義でした。[取材:常石勝義/栗東]

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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