フラッシュの乗り方は最高に難しい/天皇賞(秋)

2013年10月26日(土) 18:00

 エイシンフラッシュのここまでの快走は、日本ダービーでの上がり32秒7。4歳時の有馬記念2着の際の上がり33秒6。昨年制した天皇賞(秋)の上がり33秒1。そして前回の毎日王冠の上がり32秒8。猛烈に速い上がりタイムを記録したときに激走するケースがほとんどである。

 スローペースを楽に追走できると、爆発する末脚が生きる。かかり気味に行ったり、ハイペースを流れにのって追走すると、たとえば11年の天皇賞(秋)の6着が象徴するように、その結果はだいたい芳しくない。

 大きな理由は、ジャパンCで欧州のトップホースが苦戦するのと同じで、欧州血脈が濃いからだと思われる。ヨーロッパのビッグレースの多くは、スローからの追い比べになる。スローだから、時には驚くような高速フィニッシュも珍しくない。洋芝のパワーと底力勝負ではあっても、最後は爆発力がなければ勝つことはできない。

 エイシンフラッシュはもう十分に日本化しているが、欧州タイプの本質は変わらない。父キングズベストは、Mr.プロスペクター系ではあっても、その母方がドイツ血脈。母ムーンレディは、その父がジャパンCに来たドイツのプラティニであるように、典型的なドイツ血脈。だから、エイシンフラッシュはスローからの追い比べは合っているが、全体に流れの緩まないスピードレースを追走してしまうと、リズムが崩れ、最後に伸びるスタミナを削がれてしまうのである。

 昨年、シルポートがぶんぶん飛ばし、(57秒3-60秒0)=1分57秒3。あんな高速決着になった全体にハイペースの天皇賞(秋)を鮮やかに差し切ったではないか、と疑問が出そうだが、ここが難しいところ。テン乗りになったM.デムーロ騎手は、まるで・・・

続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

登録済みの方はこちらからログイン

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

新着コラム

コラムを探す