覇王への道(テイエムオペラオー)

2013年10月28日(月) 12:00

テイエムオペラオー

テイエムオペラオー

◆史上最強の名ステイヤー

 サラブレッドの世界にも大器晩成型がいる。長距離が得意な馬をステイヤー、短距離が得意な馬をスプリンターと呼ぶが、大器晩成型は総じてステイヤーに多い。

 もっとも、偉大な名ステイヤーは早くから才能の片鱗を見せる。野球やサッカーの名選手が、小学生のころから傑出した才能を見せているのと同じだ。テイエムオペラオーもそんな早くから才能の片鱗を見せ、覇王の道を突き進んだ晩成の名ステイヤーだった。

 デビューは3歳の8月。夏のこの時期にデビューする馬は、だいたいが早熟馬か短距離馬と決まっている。後に歴史的な名ステイヤーとうたわれた馬としては、意外なほど早いデビューであった。

 血統的にはステイヤー色が濃かったが、順調にトレーニングをこなし、どんどん仕上がっていくものだから、早くデビューさせることに決めたのだった。どうも当初は早熟馬と判断されていた節がある。4歳牡馬の三冠(クラシック)レースの登録をしていなかったことでも、その期待度のほどがうかがえる。

 判断の誤りが、晩成のステイヤーを単なる早熟馬で終わらせてしまうことも多い。未完成期の使いすぎが、才能の芽を摘むことがよくある。ところが、そこに思わぬ誤算が生じた。

 デビュー戦で2着に敗れて骨折し、半年の戦線離脱を余儀なくされてしまうのだ。早いうちに稼いでおこうという関係者の思惑は、大きく狂うことになった。しかし結果としてこの休養が、眠っていた名ステイヤーの資質をうまく育むことになったのである。

 4歳の1月に復帰したテイエムオペラオーは、半年前とは見まごうばかりに成長していた。復帰2戦目で勝ち上がると、特別戦、重賞の毎日杯と3連勝。続く牡馬クラシック第1弾の皐月賞は、追加登録料を払っての出走だったが、ここも勝利して4連勝でクラシックのタイトルを手にする。

 第2弾の日本ダービーは3着、第3弾の菊花賞は2着。まだ強さと脆さが同居していたが、鞍上の和田竜二は若干21歳の若い騎手だった。ランキング上位の名騎手による手綱さばきなら、三冠馬誕生のシーンまであったと思われる。

 だが、調教師の岩本市三は頑なにこのコンビを貫き、最後まで名騎手に交替させることはなかった。騎手時代の岩本は下積み時代が長い苦労人だった。その悲哀を知っていたからこそ乗せ続けたのだろうが、それも晩成のステイヤーを育てるうえでは吉と出た。

 翌2000年、5歳となったテイエムオペラオーはさらに強さを増し、和田を背に怒涛の快進撃を始めるのである。終わってみれば、春秋の天皇賞、ジャパンCなど8戦全勝(GI・5勝)という完全無欠の内容で、堂々の年度代表馬に選ばれた。まさに覇王への道をひた走った1年だった。

 翌年もステイヤーの勲章となる天皇賞・春を連覇。歴代最高賞金(18億3518万9000円)までも獲得し、史上最強の名ステイヤーの称号を得て引退していった。この歴代最高獲得賞金額は、いまだに破られていない。(吉沢譲治)

◆レース詳細

2000年04月30日

第121回 天皇賞・春(GI) 京都/芝右 外3200m/天候:曇/芝:良

1着 テイエムオペラオー  牡5 58  和田竜二 3:17.6

2着 ラスカルスズカ    牡5 58  武 豊  3/4

3着 ナリタトップロード  牡5 58  渡辺薫彦 3/4

◆競走馬のプロフィール

テイエムオペラオー(牡5)

父:オペラハウス

母:ワンスウエド

騎 手:和田 竜二

調教師:岩元 市三(栗東)

馬 主:竹園正繼

生産牧場:杵臼牧場

※年齢は当時の旧年齢表記

40万DL突破!伝説の名馬に挑め!

40万DL突破!伝説の名馬に挑め!

40万DL突破!伝説の名馬に挑め!

 爽快!競馬パズルゲーム「パズルダービー」、40万DL突破!

「パズルダービー」はマッチ3形式(同じ色を3つ揃えるブロック消し)のパズルと競馬が融合し、伝説の名馬のシナリオに挑戦する競馬パズルゲームです。レースでは、ディープインパクトやオルフェーヴルなど名馬のシナリオを完全再現。競馬ファンなら感動再び、競馬を知らない方はパズルを楽しみながら、競馬の魅力を知っていただけます。

 登場する名馬は700頭以上。また、週末に開催される中央競馬とのリアル連動イベントや各種キャンペーンも満載です。この機会に是非お楽しみください!

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeiba名馬列伝

「嗚呼、愛しき名馬たち〜netkeiba 名馬列伝〜」では、記録と記憶に残る伝説の名馬の足跡をプレイバック。名馬たちが繰り広げた伝説の数々が蘇ります!

新着コラム

コラムを探す