偉大な父の背中を追って、横山和生3年目の覚醒!

2013年11月05日(火) 18:00


赤見:エーデルワイス賞では、見事1番人気で初重賞制覇!人気を背負って、緊張しませんでしたか?

和生:もちろん緊張しますよ。けど杉浦先生には『京成杯』でルナに乗せてもらって、同じく1番人気を経験させてもらって。あれがいい意味で活きてくれたと思うんです。『1番人気だからって気負う必要ないんだな。いつもの僕とフクノドリームで行ければ、結果はついてくるんじゃないか』って思えたんで。

フクノドリームには新馬戦の時から乗せてもらってて。新馬は2着に負けちゃったんですけど、それでも馬主さんと調教師さんがチャンスくれて、それで勝てたので本当に感謝しています。初めて重賞勝ててすごく嬉しかったんですけど、どっちかって言うとホッとしたっていうのが素直な気持ちですね。フクノドリームもこんなに頑張ってくれて、『ありがとう』って思います

エーデルワイス賞

エーデルワイス賞

エーデルワイス賞は人気に応えて快勝

赤見:芝ダート問わず、現在3連勝中ですね。

和生:もちろん成績もすごいし、勝ちっぷりもすごいんですけど、レース後の馬の立居振舞がすごいなって。勝った後に口取り写真撮るじゃないですか。走ったばかりなのに、堂々としてるんですよ。2歳の女の子とは思えないくらい堂々としてて。走る馬っていうのは、こういうものなのかって思いましたね。

赤見:デビュー3年目の今年は重賞も勝ったし、すでに34勝もしてて、いいリズムですね。

和生:そうですね。それだけ周りの方にお世話になって、たくさんいい馬に乗せてもらったんで、この結果があると思います。変わったこと?けっこう色んな人に聞かれるんですけど、自分の中では何か変えたっていうのはなくて。ホント、長い間色んな方から教えてもらったこととか、色んな馬から教えてもらったこととかが形になったのかなと思いますね。

ホントはね、もっとこうした方が良かったなっていうレースもいっぱいあります。勝ったレースも見直して、こういうパターンならいいなとか、こういうパターンになった時は負けてるんだから、自分がどう行動すればいいかとか。競馬が同じ展開になるとは限らないんですけど、いざっていう時に自分の中で選択肢が広がるようにしてます

赤見:普段からけっこう考えてますね。

和生:みんなからはそんなキャラじゃないって言われますけど(笑)。実際、先輩方もすごく見てますし。親父もそうですけど、蛯名さんだったり、近い人で言ったら丸田さんとか伊藤工真さんとか、すごい研究してるんですよ。そういうのを見たら、ただ単にいい馬乗って勝ってるだけじゃないんだなって。勉強してるんだなって思います。僕はまだデビューして3年目の若手のあんちゃんですし、そこの努力で負けないようにしないと。ただでさえ経験とかも劣ってるわけですから、せめて馬見たり勉強することだけは、負けないようにと思ってます。

9月15日中山3R、親子の追い比べ

9月15日中山3R、親子の追い比べ

赤見:お父さんが偉大な方で、今も現役で。それで同じ道を歩むって決めた時はどんな感じだったんですか?

和生:それはもうすんげえ怒られましたね。もう全然覚悟が足らなかったというか。やっぱりね、あれだけの成績残してたら、生半可な気持ちで入って欲しくなかったと思いますし、すごいこう…『俺の仕事を簡単に考えてるようだけど、ナメてんじゃねぇぞ』と

赤見:デビューした時は、そういう注目っていうのは大きかったんじゃないですか?

和生:でもそれがその時に始まったことじゃなくて。結局自分が生まれた時から父親は横山典弘なわけですし、息子として、横山和生として生まれたんで。よくみんなから『プレッシャー?』って聞かれるんですけど、別にそんなに意識したことはないかな。けっこう慣れちゃってて。それこそ乗馬始めた時も息子ってことで注目されたし、だからこれは当たり前の反応なんだなって。そういう感じです。

赤見:自分がジョッキーになってみて、ノリさんのすごさっていうのを改めて感じますか?

和生:もうね、一戦一戦、一勝一勝するごとに、どんどんすごさがわかって。それこそ最初の頃の方が、『強い馬乗ったら勝てるんじゃないか』って思ってて。みんなそうだったと思うんですけど、僕の同期も。立ち回りの上手さだったり、ちょっとこう足りない馬を持って来る技術だったり、そういう部分は乗れば乗るほどね、『こんなすごいことを平然とやってのけてたんだな』って思います。それが率直な気持ちですね

赤見:ノリさんからアドバイスとか受けたりしますか?

和生:もちろん!せっかく一番近いところにすごい先生がいるんで話聞かない手はないです。毎週競馬終わったら実家に行って、自分の競馬見てもらいます。父親からしたら、僕のレースは全部ダメなんですけど、次見てもらった時に、『ここ良くなったな』って言ってもらえたら少しは成長出来てるのかなと。

赤見:一番注意されることって何ですか?

和生:とりあえず怒られることしかないんですけど。よく言われるのは、『馬の気持ちになれ』って。自分が馬の気持ちになった時に、されて嫌なことは馬だって嫌なんだと。そういう嫌なことをしなければ、馬も言うこと聞いてくれるからって。ムチで叩くから走るわけじゃないし、引っ掛かるからって無理に引っ張って乗ってたら馬だってそれを察知するわけだから。そういうことをよく言われます。まだちょっと…極限まで行った人の言葉なんで理解はなかなか出来ないんですけど。

赤見:毎週競馬終わりには、親子でガッツリしゃべってるんですね。

和生:それでガッツリ怒られてます(笑)。精神的にゴリゴリ削られてますよ。騎手になってからも特に親子の関係が変わったっていうのはないですね。子供の頃から幼いなりに尊敬してましたし。僕が乗り始めたからってお互いにギクシャクするわけじゃないし、くっつくわけでもなく。その辺りは他の親子と何にも変わんないと思いますよ。

赤見:では、今後の目標を教えて下さい。

和生:今年で減量もなくなっちゃうんでね。いい意味で目立って来てるかなと思うので、この感じで行きたいです。みなさんが見てくれてる間に、もっと頑張りたいと思います。

今後の目標は、最近色んな厩舎から色んな種類の馬に乗せてもらってるんで。どんな馬でもみなさんの想いが詰まってますから、一つでも上の着順目指して行きたいです!

「もっと頑張りたいと思います!」

「もっと頑張りたいと思います!」

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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