交流レースの効果

2013年11月22日(金) 18:00


 11月21日、グランダム・ジャパン2歳シーズン第4戦、プリンセス特別(笠松)が行われ、北海道から遠征のカクシアジが力の違いを見せつけて勝利。第1戦、園田プリンセスカップに続き、このシリーズ2勝目となってポイントでは2位以下に差をつけた。

 地方競馬のシリーズものとして定着した感のあるグランダム・ジャパンだが、スタートして1年目か2年目あたりに、おそらくこのコラムだったと思うが、「2歳馬は他地区に遠征する馬が少なく、やる意味があるのかどうか」というようなことを書いたと思う。

 そのとおり初年度(2010年)は、有利と思われた北海道から南関東への移籍馬が1、2位。2年目は大井のショコラヴェリーヌが優勝したが、地元南関東のレースを2戦したのみで、しかも勝利はなし、わずか17ポイントでの優勝と、3歳シーズン、古馬シーズンの盛り上がりに対して、2歳シーズンはまったく面白みに欠けるものだった。

 しかしその後の2歳シーズンでは、昨年は笠松のカツゲキドラマが、地元以外に園田、川崎、大井と遠征を重ね、全6戦のうち4戦に出走し、2勝をマークして優勝。そして今年は、北海道のカクシアジがここまで4戦のうち3戦に出走して2勝。続く水沢・プリンセスカップにも出走予定で、ひょっとすると最終戦の東京2歳優駿牝馬まで、全6戦のうち5戦に出走するかもしれない。

 2歳戦でこれほど積極的に遠征競馬をする馬が出てくるとは想像できなかった。「やる意味があるのかどうか」という意見は、どうやら取り下げたほうがよさそうだ。

 それにしてもカクシアジは400キロそこそこの小さな馬体で、園田へ、そして笠松へと遠征しての勝利には感心させられる。プリンセス特別のレース当日には、笠松のとある調教師が、「2歳の牝馬が、どうして長距離輸送をしてこれほどの結果を残せるのか、そのノウハウを知りたい」と感心しきりだった。

 カクシアジは、このあとは門別には戻らず、直接水沢に入り、中10日でプリンセスカップに出走となるようだ。

 カクシアジの遠征競馬での鞍上は、園田では川原正一騎手、笠松では東川公則騎手がつとめた。ともにベテランの地元トップジョッキーだ。東川騎手はこの馬で勝てたことについて、「北海道の馬は強いメンバーに揉まれていることもあるんでしょうけど、この時期の2歳牝馬としては強い。これはすごいと思って、ちょっと感動しました。こういう経験をさせてもらえて、勉強になりました」と話していた。

 グランダム・ジャパンは、日本の競馬では冷遇されがちな牝馬のレースを盛り上げることがそもそもの目的だが、馬がさかんに移動することによって、本来の目的以外にも、さまざまに好影響をもたらしているようだ。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

新着コラム

コラムを探す