種牡馬展示会、続く

2014年02月19日(水) 18:00


◆今年は10日に始まり、11日社台、12日は静内地区の3か所と続き、今日19日が日高町のブリーダーズスタリオンであった

 例年ならば、種牡馬展示会はどこかの週にほぼ集中して開催されるのが常だが、今年は10日に始まり、11日社台、そして12日は静内地区の3か所と続いたものの、それ以後は19日まで日程が空いた。そして、今日19日が日高町のブリーダーズスタリオンであった。

ヨハネスブルグ

昨年2歳戦で大ブレイクしたヨハネスブルグ

 12日(水)の静内地区は9時半にJBBAからスタートした。今年の展示会は割に天候に恵まれ、この日も良く晴れていた。JBBA静内種馬場では9頭が展示された。昨年2歳戦で大ブレイクしたヨハネスブルグがまず最初にお披露目され、最後はエンパイアメーカーで締めくくる陣容だが、ただひとつ残念だったのは、今年2シーズン目となるサマーバードが昨年12月に急死してしまったこと。2006年生まれの今年8歳馬で、いかにも惜しい種牡馬を亡くしたと思う。

エンパイアメーカー

トリを務めたのはエンパイアメーカー

 静内地区では各種馬場の連携ができており、時間差で次のアロースタッドへ人々が移動して行く。アロースタッドの展示は10時20分開始である。

 アロースタッドでは、19頭が展示された。新種牡馬はネヴァブションとバロズハートの2頭。続いて今年初産駒が誕生するトランセンドやリーチザクラウン、スズカコーズウェイ、ヒルノダムールがお披露目され、次に今年産駒デビュー予定のバトルプラン、スーパーホーネットが引き出されてきた。あらかじめ生産者のもとに郵送されていた案内状を回収し、最後に抽選会が行われた。フサイチリシャール、ビービーガルダン、ヒルノダムール、パーソナルラッシュの無償交配権利などが“景品”として用意された。これもひとつの「顧客獲得作戦」で、各種馬場とも交配頭数の維持(できることなら増加)に苦心している。

 アロースタッドの次はレックススタッド。JBBA〜アロースタッド、レックススタッドはそれぞれ近い位置関係にあるが、やはり移動は車となる。JBBAに集まった来場者はほぼそのままアロースタッド、そしてレックススタッドまで移動して歩く。

レックススタッド

レックススタッドの展示会風景

 レックスでは新種牡馬が3頭(シルポート、コパノジングー、ネオヴァンドーム)、そして今年より新たにタニノギムレットが加わった。展示に供されたのは25頭。開始時間は11時半である。

 25頭ともなれば、次々に種牡馬が登場し、どんどん展示が進行して行く。サクラやエイシンの冠名を持つ種牡馬が多く、メモを取らなければ後で撮影した写真との照合に苦労させられるほどだ。

 レックススタッドでは、スペシャルウィーク、ホワイトマズル、アドマイヤコジーンなどの元社台スタリオン組が健在で、それぞれ元気に種牡馬生活を続けている。先週も触れたように、社台スタリオンに新種牡馬が入厩すると、そこから「出て行く」種牡馬も当然いるわけで、新天地で新しい環境の下、交配条件をやや下げて交配を行なうのだ。そういう種牡馬の流れが完全に出来上がってしまっている。

 さて、レックスから一週間後の19日(水)。日高町のブリーダーズスタリオンで展示会が行われた。やや曇りがちながらまずまずの天候だったが、ひじょうに風が強く、スタリオン周辺の道路では吹き溜まりができていた。

 今年の新種牡馬はストロングリターンとローズキングダム。また社台スタリオンよりヴァーミリアンが、ビッグレッドファームよりステイゴールドが移動してきており、全19頭の陣容だ。

ブリーダーズスタリオン

ブリーダーズスタリオンの展示会風景

 ステイゴールド産駒の活躍はいまさら触れるまでもなく素晴らしいもので、アッミラーレやジャングルポケット、ダンスインザダークなども重賞勝ち馬を輩出している。またトワイニングやスウェプトオーヴァーボードなどの元社台スタリオン繋養馬たちもここで種牡馬生活を続行している。

 種牡馬の世界もまさにピンキリで、人気どころは200頭以上の繁殖牝馬を集めるのが常識になっているが、多くの種牡馬にとってはまず交配頭数の確保が第一の関門だ。しかし相対的にサラブレッドの生産頭数が少しずつ減り続けており、あまり人気のない種牡馬たちにとってはひじょうに厳しい環境になってきている。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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