起死回生、高知競馬(1)

2014年03月21日(金) 18:00


◆平日にもかかわらず開門待ちの列があった高知競馬場

 先週の当コラム「スカパー!中継の影響は」で少々補足を。

 南関東以外のスカパー!中継『地方競馬ナイン』のサイト(http://keiba9.com/)が公開され、4〜5月の番組表を見ると、ばんえい競馬は一部、ホッカイドウ競馬は全編で無料と、これまでの645chと同様の扱いになっているが、これは地方競馬ナイン移行にともなう暫定的な措置。6月以降は、やはり500円/月(消費税別)の視聴料を払わないと見られなくなるそうだ。

 また『地方競馬ナイン』というチャンネル名について、当初は、南関東以外の、ばんえい、ホッカイドウ、岩手、名古屋、笠松、金沢、兵庫、高知、佐賀で「ナイン」という命名となったようだが、前回書いたとおり兵庫が不参加を表明し、佐賀も不参加となるようで、実際には7主催者でのスタートとなりそう。また笠松は、オグリキャップ記念、笠松グランプリと、今のところわずか2日間の放映予定しかない。

 まだまだ流動的な部分もあるようで、気になる方は公式サイトのほうでチェックしていただきたい。

 さて本題。3月18日に行われた黒船賞の取材で高知競馬に行ってきた。高知競馬場には少なくとも年に1度は足を運ぶようにしているが、黒船賞は久しぶりで、どうやら震災前年の2010年以来だったらしい。それゆえセイクリムズン3連覇といっても、高知でセイクリムズンが勝つのを見たのは今回が初めてだった。

 この日、南はりまや橋の停留所から乗った1本目の無料送迎バスはほぼ満席。そして競馬場に着いてちょっと驚いた。競馬場入場門には、ざっと数えたところ150〜200人ほどものファンが開門を待っていたのだ。平日にもかかわらずである。

 高知競馬はほんとに元気だ。いや、もともと売上げが落ち込んでいた時期でも高知競馬の関係者は元気だったのだが、ここのところ売上げが上がってきて高知競馬全体が元気になっているような気がする。

 この日の黒船賞1レースの売上げ1億6134万円(1万円未満は省略、以下同)は、同じく平日開催だった昨年の1億5876万円から微増だが、この日1日の高知競馬の売上げ3億5753万円は、昨年の2億9104万円から約22.4%ものアップとなった。

 今手元にある2007年以降の黒船賞当日の数字で(2008年は休止、2011年は震災で中止)、春分の日の祝日に当たった年は1日の売上げが3億円を超えているが、平日で3億5千万円超という数字はかなり大きい。

 もちろん2012年10月からスタートした地方競馬IPATによるところも大きいが、黒船賞当日の全レースが地方競馬IPATで発売されたということでは、平日開催の昨年も同じだだった。

 重賞だけでなく一般戦のレースの馬券が売れるようになった、というのが今の高知の勢いを示していると思う。

 高知競馬の1年間の売得額では、2008年度には38億8091万円にまで落ち込んだが、2013年度(2013年4月〜2014年3月)の売得額は、なんと110億円を超えようとしている。

 廃止寸前からさらに売上げが落ち、しかしV字回復を遂げるに至ったここ10年ほどの高知競馬の足跡について、次回振り返ってみたい。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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