2014年03月30日(日) 17:00
今年で19回目、メイダン競馬場が新設されてからは5年目となるドバイワールドCミーティングに、日本から8頭が遠征した。
「いいスタートを切ってハナをとれればと考えていた」(鮫島一歩調教師)ものの、スタートでやや後手を踏んで3番手からの追走となった。ドバイでは、日本にはないスタートを補助するためのゲートボーイがそれぞれの馬に付く。そのゲートボーイとの呼吸が合わずにスタートのタイミングが遅れたという。「それでもそのあとはスムーズで、ペースが遅かったから3番手につけて、4コーナーを回るときにこれならと思った」と福永祐一騎手。直線では前の2頭と同じような脚色で粘っていたが、ゴール前では徐々に遅れ、勝ち馬から2馬身半ほどの差で5着だった。
とはいえ、先行、2番手でそのまま押し切った2頭が強すぎたというべきだろう。勝ったヴァライエティクラブは、南アフリカでG1・4勝を挙げるなど2シーズン連続で年度代表馬に輝いた馬。2着のソフトフォーリングレインは、同じく南アフリカでのデビューから7連勝で昨年のこのレースを制していた馬。実力はG2レベルではない。
ゴドルフィンマイルの勝ち馬ヴァライエティクラブは南アフリカの年度代表馬
ブライトラインは、最後の直線でそのソフトフォーリングレインに寄られて追いづらくなる場面もあったようだが、福永騎手は「初めての海外遠征でも力は出してくれたかなと思います」と健闘を称えていた。
日本馬の出走はそこからしばらくあいて終盤の第7〜9レース。その間、短距離戦で強さを見せたのが香港勢だった。
第5レース、芝直線1000mのアルクォーズスプリントを逃げ切ったアンバースカイは、馬主がアクション映画の俳優や監督として知られるサモ・ハン・キンポー氏。“直線1000mのスペシャリスト”だそうで、リッキー・イウ調教師によるとロイヤルアスコット開催へ遠征するプランもあるとのこと。日本に遠征してくれれば、競馬ファンだけに限らず相当な話題になると思うのだが。
“直線1000mのスペシャリスト”のアンバースカイがアルクォーズスプリント勝利
続く第6レース、オールウェザー1200mのドバイゴールデンシャヒーンでは、前哨戦を制していたリッチタペストリーが絶好の手応えで抜け出して勝ったかと思ったところ、ゴール前でさらに鋭い伸びを見せたステアリングシティが差し切って香港勢ワンツーをを決めた。
香港勢2連勝のあとに待っていたのが日本勢の2連勝だった。第7レースのドバイデューティフリーには日本から3頭が出走。前走中山記念では出遅れたトウケイヘイローだが、さすがに今回はすんなりと先頭に立ってレースを引っ張り、ロゴタイプは中団の外目を追走。「エッ!」と思ったのはジャスタウェイで、スタートでダッシュがつかず13頭立ての後方3番手からの追走となった。
直線を向いてもトウケイヘイローが先頭だったが、これをとらえにかかったのがウェルキンゲトリクス。南アフリカでのデビューからドバイに遠征しての前哨戦ジェベルハッタまで6連勝中とまだ底を見せておらず、さすがの強さと思わせた。しかしあっという間にこれをとらえて突き放したのが、4コーナーでもまだ後方3番手だったジャスタウェイ。その差はみるみる広がり、ウェルキンゲトリクスにつけた着差は6馬身1/4。勝ちタイムの1分45秒52は、コースレコードを3秒近くも縮めるものだった。
ジャスタウェイがドバイDFを制覇、コースレコードを大きく縮める圧勝
ジャスタウェイは父ハーツクライ(06年ドバイシーマクラシック)とともに親子でドバイ制覇となった(撮影:斎藤修)
2着馬の鞍上クリストフ・スミヨン騎手の「直線を向いて勝ったと思ったところ、日本の馬が飛んできて抜き去っていった」というコメントが、ジャスタウェイの強さを物語っている。
大和屋暁オーナーは父ハーツクライのクラブ馬主であった(撮影:斎藤修)
ジャスタウェイの馬主、大和屋暁氏は、昨年の天皇賞・秋を制した際に話題となったが、ハーツクライにクラブ馬主として出資していて、その後に個人馬主となって所有したのが産駒のジャスタウェイ。ハーツクライがドバイシーマクラシックを制したのが2006年のことで、そのわずか8年後にその産駒で、同じドバイのGIを制してしまったのだから、馬主としてはこれ以上ない幸せであろう。
ドバイシーマクラシックでは・・・
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