2014年04月29日(火) 18:00
■ジョッキーを目指す子が、ひとりでも増えてくれたら
(3月の)3週間の騎乗停止を経て、心機一転、挑んだのがドバイだった。気持ちがリセットされたことで、緊張は驚くほどなくて、こうも違うかと思うほど純粋に楽しめたね。ジャスタウェイは、今年に入ってからまた良くなってるよ。エピファネイアとともに、本当に楽しみだ。ただ、この2頭は路線が被るから…。どちらも世界レベルの馬だと思うし、今後は悩ましい選択を迫られることがあるかもしれない。
ドバイDFをジャスタウェイで制覇(撮影:高橋正和)
そうそう、ジャスタウェイの中山記念は、自宅で観戦したよ。乗り替わったときのノリさんは、それまで乗っていたジョッキーとは違った乗り方をすることがあるから、前に行くこともあり得るなと思って観ていた。内に行ったときは、思わず“ケガだけはしないでくれ”と余計な心配をしてしまったけれど、終わってみればさすがノリさん。お見事の一言に尽きる競馬だったと思う。
ジョッキーになって丸17年。本当にいろいろなことがあった。馬に乗ることも生きることも、今は楽しんでこそだと思える。自分にしてみれば、ようやくここまでの心境にたどり着けたっていう感じかな。そんななか、先日、長女が生まれた。今一番思うのは、この子が楽しい人生を送ってくれればそれでいいということ。でも、そのためには、自分が人生を楽しんでいる姿を見せることが、一番大切なことだと思っている。
競馬は純粋なスポーツでもなければ、単純なギャンブルでもない。馬という生き物がいて、ともに戦うジョッキーがいて、着順を当てる馬券があって、人それぞれにいろんな楽しみ方が選択できる稀有な競技だと思っている。そのおもしろさをより知ってもらうために自分ができることは、“騎手”という仕事をもっと知ってもらうこと。レース中、どういうことをしているのか、どういうことを考えてレースに臨んでいるのか、とかね。馬だって、ただジョッキーに促されて走っているわけではなく、1頭1頭個性があって、その魅力を伝えられるのも騎手ならではだと思う。
ジョッキーならではのレース回顧などもここでしていきたいと思っていて、きっとそのなかには、“ああ、そうだったんだ”と思ってもらえることがたくさんあると思う。なぜ勝ったのか、なぜ負けたのかがジョッキー目線で明確になれば、もっともっと競馬を楽しんでもらえるはずだから。
一時期、ファンの意見をもっと取り入れて、競馬の環境をより良いものにしたいという目的でツイッターをやっていたんだけど、・・・
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2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。
福永祐一
1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。