高知の別府真衣騎手がレディースワールドチャンピオンシップに!

2014年05月10日(土) 12:00


◆どのようなレースなのか、わかったことをご報告

 11日、ドイツ・ベルリンのホッペガルテン競馬場で行われる「シェイカ・ファティマ・ビント・ムバラク・レディースワールドチャンピオンシップ第7戦」に、高知の別府真衣騎手が騎乗します。

 地方競馬の女性騎手がヨーロッパで騎乗するのは初めて、ということで、これは実にうれしいニュース。でも、いったい「シェイカ・ファティマ・ビント・ムバラク・レディースワールドチャンピオンシップ」(以下SFLWCと表記)というのはいかなるものなのでしょうか?あまりにも“謎”が多かったので、いろいろ調べてみました。まだ不明の部分も多々あるのですが、これまでにわかったことをご報告させていただきます。

 まず、「シェイカ・ファティマ・ビント・ムバラク」から。これがアラブの王族のお名前であるというのは、察しが付きますよね。この方は、UAEの初代大統領を務めたアブダビの前首長、故ザイード・ビン・スルタン氏の第3王妃で、同国の女性の権利拡大や女性アスリートの支援に尽力されている人物とのこと。もうおわかりでしょうが、「シェイカ」は「シェイク」の女性形です。

 SFLWCは、この方が後援している女性騎手の世界選手権シリーズ。今年は、1月17日のオマーン・アルファラジ競馬場の第1戦から8月24日のポーランド・スルゼヴィク(ワルシャワ)競馬場の第13戦まで、世界12カ国(上記2カ国のほかオーストラリア、スイス、アメリカ、モロッコ、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデン、オランダ、ベルギー)で開催されます。その後、11月9日にはアブダビで「ファイナル」が行われる予定です。

 各レースは、IFAHR=国際アラブ競馬主催者連盟が施行する純血アラブ限定戦。騎乗するのはもちろん女性騎手ですが、プロかアマかは問いません。

 今回、別府騎手が乗るレース(芝1600メートル、1頭取消があって6頭立て)には、プロ2人、アマ4人が参戦。別府騎手が騎乗するAthlete Del Solは通算20戦5勝、去年9月にスウェーデンのG3戦、10月にドイツのG2戦を制した実力馬で、本命に推されているようです。対抗は、オランダから参戦するもう1人のプロ、ジャディ・ピエトラジヴィク騎手が乗るPhraseur Kossack。こちらは去年のこのレースで3着に入ったほか、今年2月にスイス・サンモリッツの氷上競馬で行われたSFLWC第3戦に優勝、通算成績を24戦7勝としています。かなり手強そうな相手です。

 今のところ、シリーズの“規定”を明示した資料(サイト)にたどり着いておらず、断定はできませんが、各レースの優勝騎手には、11月に行われる「ファイナル」への出場権が与えられるようです(去年の成績を見るとそういうシステムになっていると思われます)。別府騎手もここを勝てば、次はアブダビで“世界一”をかけて勝負、ということになるかもしれません。ぜひ優勝してください!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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