関係者全員の力の結集/オークス

2014年05月26日(月) 18:00


◆レッドディザイア級の能力を示したヌーヴォレコルト

 坂上で抜け出したヌーヴォレコルト(父ハーツクライ)の、桜花賞3着からの逆転勝利が決まり、断然人気のハープスターは大外から追い込んだが、クビ差届かずの2着にとどまった。

 2歳時に3戦2勝の成績を残すと、活力温存の充電と再鍛錬の3カ月のオーバーホール期間を設け、今年は「チューリップ賞2着→桜花賞3着→オークス1着」。まるでクラシックを目ざす牝馬のお手本のようなローテーションである。管理する斎藤誠調教師以下のスタッフを中心に、鍛錬・充電期間の山元トレセンを含め、仕上げに関わった人びとみんなの力の結集だった。会心の斎藤調教師(43)が手にしたものは、とても念願のクラシック制覇だけにとどまらないはずである。

 理想の過程を踏むことができたヌーヴォレコルトは、カイ食いに不安がなく、「強い調教を課しても平気な精神力がある(斎藤誠調教師)」。今回は地元なので、デビュー以来最高馬体重の444キロで出走できた。3戦連続して騎乗した岩田康誠騎手の、再三のビッグレース制覇で培われた落ち着いた騎乗も重なった。彼には、勝負どころで勝利に導かれるなにかがある。坂上で詰まりかけた前方は、自然に開けた。馬名からの推測だが、母オメガスピリット、産駒のオメガ兄弟の所有者でもある原オーナーにとっては、馬主人生最高のオークス制覇にちがいない。

「2分25秒8」で決着したレースの中身と、1-2着馬のレース内容は、同じような時計だったブエナビスタの2009年にきわめて良く似ている。

▽14年「1分13秒4-1分12秒4(上がり47秒1-35秒1)」=2分25秒8
▽09年「1分13秒5-1分12秒6(上がり47秒4-34秒8)」=2分26秒1

 今年、前後半1200mの差は1秒0あるが、3歳牝馬の初の東京2400mとするとこれ以上前半が速いとみんなが苦しくなる。理想の「平均ペース」の典型としていい。

 勝ったヌーヴォレコルトは・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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